非常に充実した注を飛ばして、ひとまず、通読しました。というところであるが、現在、もの凄い勢いで変化が進んでいる情報ネットワーキング環境と、その中で生きることの意味合いがよくわかる。本書において要約されている、今後のこの社会を読み解く斬新な切り口である「社会的ネットワークとベキ法則」は、めまぐるしく成果が上がり続けるであろうこの分野への、勤労者・市民等、ゆったりと時間をとれない人たちへの格好の入門書であるかもしれない。
最終部で展開されている「情報社会の運営原則」は、さりげない筆致でありながら、今後の社会変革の指針であり、著者の志のありかであるかもしれない。特に、「情報社会において、いや情報社会においてこそ、ベキ法則はいたるところで発現することを不可避の現実とみなし、それが生み出す不均等効果を除去・軽減するのではなく、むしろ積極的に容認し利用することを大きな目標とする」という第一原則をはじめとして、各原則は今後の社会のあり方の本質を洞察された結晶でもある。
二回目以降、読むときには、まず、ここから読む。それから整備された索引を頼りに、興味・問題意識に叶うところを注を含めてしっかり読む。そのような読み方で、今後の社会を見、考える目の涵養を図ることにしたい。