小さい「から」強い、マーケット深掘り戦略
★★★★★
「楽しいこと」「好きなこと」を仕事にすることは難しいものである。特に「遊びごと」に近いものは「ノリ」で簡単に人が集まるだけに、「一時の盛り上がり」で終わってしまいがちだ。少なくとも最初は「楽しい」ので、収支についての詰めが甘くなりがちで、スタッフに無償労働を強いたりするようなケースが多く、結果としてビジネスとしての持続性を得られないことが多い。
「ネイガー」の場合、そこの詰めが極めて堅実である。キャラクターの独創性だけではなく、ビジネスの基礎においても妥協していない。スポーツジムを経営してきた筆者の経験が生きている、と言える。
そしてその堅実性が「夢」の純粋性に由来するというのが、面白い。「ネイガー」が大ヒットしたとき地元の業界関係者から「稼げるときに稼がなきゃ」という「アドバイス」を多数もらったという。しかし、筆者は断固としてショーのギャラを値上げしなかったのだ。その理由は「100年先も秋田で生き続けているヒーローを作る気でいたから」。これが「本気」なところがすごいし、正しい。
このような経営のあり方は、結果として非常に正解である。人口減少社会に入った我が国においては、マーケット全体の拡大は望めない。「ネイガー」の顧客である「秋田の子どもたち」も、少子化の中で減少していく。マーケットが縮小していく中で利益を出し生き残るために最も有効なのは「マーケット深掘り戦略」である。今いるお客様を大事にし、満足してもらうことにより口コミで更なるお客様を連れてきてもらうという、まさに「ネイガー」が実践している戦略なのだ。
筆者はこの本の中で「小さいけど強いビジネススタイル」を確立したことが成功の要因と書いている。そのとおりである。しかしあえて言えば、小さい「から」こそ強いビジネススタイルなのである。マーケット深掘り戦略にとって、規模拡大は敵なのだ。
最後に特撮ヒーローファンとして、「ネイガー」のような独創的でレベルの高いローカルヒーローが全国に輩出することを希望する。ぜひ海老名氏の経験を参考にしていただきたいと思う。
生き方の本
★★★★★
ビジネス書というより、人間の生き方についての本だと感じました。男の子を育てるいち母として、自分の子供にこんなふうに強く育ってほしい、そのために親として、自分に何ができるだろうか?を考えさせられました。ビジネスといったカテゴリーに関係なく、読んだ人の人生と著者の人生を照らし合わせ、様々な生き方のヒントが得られる本です。
ローカルヒーロー成功への手引書ではない。
★★★★★
全国に200あるとも、300あるとも言われるローカルヒーローだが、この本はそのローカルヒーロー運営の、成功のバイブルでもなければ、製作運営のマニュアル本でもない。強いて参考書にはなるかもしれないが、それも本書に書かれているビジネスの比率で言えば、大きな方の率で理解できない運営者の方が多いだろう。そもそも、ローカルヒーローのビジネス運営を否定する自治体や商業団体などには、わからないことの方が多いのではないだろうか。だからこそ面白い魅力を持った本である。
作者と作者を取り巻く人々との関係、距離感、前向きな姿勢と感謝の気持ちにあふれた本であることは間違いない。その作者と作者を取り巻く人々の人間性に培われた超人ネイガーだからこそ、秋田の文化と、日本人が失いかけた「情」や「夢」を伴ったキャラクターなのだ、ということ、決して金銭的な価値ではない本当の「豊かさ」とは何か、ということを改めて認識させられた本である。
超神ネイガーは、秋田発のオンリーワン、すなわち日本でただ一つのローカルヒーローである。それがそのまま、作者イコールオンリーワン、という当たり前のことだから、この本の内容をそのまま、もしくは一部を切り取って自分の町の町おこしに当てはめようとしても当てはまらない。本気で町おこしをしたいなら、この本を読んでまずそれを理解することだ。
ご当地ヒーローを作り上げた男の「思いの丈」全面展開
★★★★★
本書をお勧めできるのは、「超神ネイガー」を知っていることが前提となのが、たとえ知らなくても本書により、興味を持って頂ける方にお勧めしたい一冊です。
ご当地ヒーロー、地産地消ヒーローという区分になるのであろうが、「超神ネイガー」を作り出した男の、思いあるいは「思い込み」が、周囲の共感を生み、説得力を持ち、現実化する過程をビジネス書の体裁を踏まえながら、分析・回想される。
著者の海老名保氏の挫折の積み重ねと、その潜伏期の時間を有効利用した読書体験(主にビジネス関連書であるが)とが、海老名保氏の一途さと相まってネイガー・プロジェクトの成功と本書に命を吹き込んでいると感じる。
思いあるいは思い込みの強さに命を与え、夢を現実にするための手がかりのヒントを与えてくれそうな一冊です。
人生を成功させた男の物語
★★★★★
この本の最後で著者が、自分は利益や富を得るという意味では多くの成功者には及ばないが、
あこがれを本業にし、信頼できる仲間に支えられ、日々感謝の気持ちで生きていられることが
本当の意味での“成功”だというようなことを書いています。
実にうらやましい人生じゃないですか!
正直、ビジネス理論そのものについては、よくビジネス本に書いてあることばかりで、目新し
いものは特にありません。しかし、それを確実に実行している様は、一読の価値があります。
大きな挫折をパワーに変えて、秋田の地にスーパーヒーロー旋風を巻き起こした男の物語は、
読む人に絶対に“生きる力”を与えてくれるものと思います。
ところで、ネイガーワールドでは、だじゃく組合の怪人たちはトークがうまくて流暢なしゃ
べりなのに、ヒーロー側は揃いも揃ってセリフが棒読みチックなのも、陰と陽の理論の一環
なんですかねw