イン・ユーテロ
価格: ¥1,680
突然の成功に圧倒されながらも、ニルヴァーナはメジャーレーベルからの2枚目のアルバムのリリースに当たって、より荒々しくより耳をつんざく音作りを選択した。シカゴを拠点とするノイズの達人スティーヴ・アルビニ(ビッグ・ブラックでの活動が有名)の力を借りてカート・コバーンと仲間たちが作り上げたアルバムは、暴力的かつ絶望的、そして深く心を揺さぶるものだった。
「Serve the Servants」では名声の代償について、「Milk It」ではアーティストとファンの不健全な関係について歌っているといった解釈がどのナンバーからも読み取れる。もちろん、どれもただ単純にコートニー・ラブのことを歌っているだけなのかもしれない。コバーンのスキャンダラスな一面はさておき、その圧倒的なソングライティングの力量と歌唱力、バンドの驚くほど粗削りなパワーは否定しえない。
心を締めつける「All Apologies」のエンディングで、コバーンはジョン・レノンを思わせる語りかけるような口調で繰り返し歌っている。「みんな誰だってかけがえのない存在なんだ」、と。だが、その言葉もコバーン本人にだけはなんの慰めにもならなかった。(Percy Keegan, Amazon.com)