Hatful of Hollow
価格: ¥827
The Smiths tend to be thought of as a band one grows out of--music you listened to as a depressed adolescent and then abandoned when you overcame it all. Such a notion denies them their place in the rock pantheon, not only as an inspiration to countless indie-rock outfits but also as the band that challenged the received wisdom of rock & roll machismo. Fronted by the fey, sexually ambiguous Steven Patrick Morrissey, who married painfully honest lyrics--almost embarrassing in their self-effacement--with arch humor and a melancholic delivery, the British band was quite an anomaly to an America still emerging from the bloated-rock tyranny of the likes of Journey and REO Speedwagon. Hatful of Hollow, released as an import in 1984 and domestically in 1993, is a collection of singles, many recorded live for various radio shows. More-muscular versions of most of the tracks here can be found on the collection Louder Than Bombs, but Hatful has a vitality to it that the studio-bound, somewhat antiseptic Bombs lacks. Check out Johnny Marr's delicate acoustic guitar on the aching "Back to the Old House" or the band's looser workouts of such now-classics as "This Charming Man" and "Still Ill." Two songs not found on other albums make this a must for fans: "Handsome Devil" and "Accept Yourself," a bouncy, jangly number on which Morrissey croons convincingly, "Others conquered love, but I ran / I sat in my room and I drew up a plan." Perfect music for your awkward inner child. --Steve Landau
「愛されたい(でもたぶん無理)」という切実な希求の持つ輝きが、最初から最後まで貫かれている。ここまで「思春期」性のドキュメントに徹したロック・アルバムを他に知らない。
★★★★☆
はじめて聴いた時は「聴きづらいアルバム」だな、と思った。シングルとしてリリースされたスタジオ音源と、ラジオ・セッションとしてオンエアされたスタジオライブの音源を並列して収録しているのだから当然ではある。でも、聴き込むほどにこのアルバムにこそザ・スミスというバンドの核が素のままでさらけ出されているのだ、と感じる。そのドキュメント性の持つ重みはバンドが解散して長い年月が経つことで増々大きくなっているように思う。
『ミート・イズ・マーダー』や『クィーン・イズ・デッド』など、作品を重ねるごとに強くなっていくモリッシーの政治的なステイトメントはまだこの時点ではそれほど前面に出ていない。その代わりにこのアルバムを支配しているのは、「(モリッシーの性的な)欲望」だ。「ハンサム・デヴィル」や「ディーズ・シングス・テイク・タイム」、「リール・アラウンド・ザ・ファウンテン」などの楽曲では後のモリッシーの詩作からは想像できないほど、あまりに無防備に彼自身の性的な願望がさらけ出されている。ここでの「率直さ」が様々な憶測や論争の種となり、バンドの活動の足枷となりかねない事態に陥って、以降彼は歌詞の方向性を変化させることになるのだが。
彼のその「他者とつながりたい」という願いが、スピリチュアルなまでの純粋性に高められているのが最終局の「プリーズ・プリーズ」だとしたら、1曲目の「ウィリアム」は当時彼が個人的に「極めて親密」な関係を築きつつあったAssociatesのBilly Mackenzieに宛てた個人的なメッセージである。そのビリーが自ら命を絶ってからもう十年以上が経つが、この曲の持つ輝きは今も衰えることがない。そこにこそザ・スミスの歌の持つ普遍性の鍵があるような気がする。つまり、「(他の誰かではなく)僕を見てくれ。そして愛してくれ」という切実(かつ叶いそうにない)「叫び」や「希求」、というものの持つ輝きということである。
走り出したくなる春の宵
★★★★★
ギターのジョニー・マーが一人で一台のギターだけを弾いているとは思えないほど複雑な音を出しています。
U2のエッジとThe Smithsのジョニー・マーはメロディーを奏でながら同時にリズムカッティングも刻む演奏を確立して、
ロックにおけるギターの役割に大きな影響を与えた、というかそれを徹底的に変えてしまったのではないかと思っています。
日本だとスピッツのギターとかが一番顕著な影響を受けているのかな?
たとえば1曲目の「William, It Was Really Nothing」や4曲目の「This Charming man」のアコースティックのイントロを聴くだけで、
(4曲目は1枚目のヴァージョンと比べるとはっきり分かるかも知れませんね)、
どこかへ向かって駆け出したくなるような、駆け出してもいいんだ、そんな気にさせてくれるようなテンションがみなぎってきます。
(連れて行かれる先はヴォーカルのモリッシーに聞いてください(笑)。たまに「すてきなジェントルマンが待っている泉のほとり」とかに着きます。)
最近だとYouTubeとかでも昔のライブが見れるようになっていますが、ジョニー・マーが手をさっと動かすだけで、
虹のような音色とすべての人たちの歓声が満ちあふれ始めます! ギターリフの奇跡!
モリッシーの歌詞も閉塞感に満ちあふれた若い心のやるせなさを喉元に突きつけてきます。
9曲目「 Heaven Knows I'm Miserable Now」とか、思い出す度に涙が出ます。
「仕事を探していた。で、仕事を見つけた。天国は知っている、僕の惨めさを。
僕の人生なんだ。僕が生きてようが死んでいようがかまわない人たちに価値ある時間を与えるだなんて、
いったいどうしてそんなことができる?」
いろんな重圧感に悩まされ、本当にやり場のない気持ちをもった人が多い時代だからこそ、今一度聞いてほしい。
怒るために、もう一度走り出すために。
最近になってスミスの良さがわかってきました!!
★★★★★
80年代当時大学生だったボクは、もっぱらスタイル・カウンシルが好きでよく聴いていました。
スミスはどうも取っつきにくいっていうか、どの曲も同じに聞こえて避けていたのが事実です。
最近になって、80’sの再評価。ネオアコ・マイブームで、スミスを聴き続けました。
そして、そのサウンドの素晴らしさに気づいたと言うわけです。
モリッシーのやる気のなさそうなボーカル。ジョニー・マーの美メロ満載ギター。
再発見!!はまっています。
このハットフル・オブ・ホロウは、ファーストアルバム直後の編集盤とのことですが、
初期のシングルを中心にいい曲がびっしり詰まっています。
2. ホワット・ディファレンス・ダズ・イット・メイク?
4. ジス・チャーミング・マン
6. ハンサム・デヴィル
9. ヘヴン・ノウズ
16. プリーズ・プリーズ
が特にお気に入りです。
ラジオ・セッション・バージョンが多く収録されており、ここでしか聴けないバージョンも魅力的ですね。
ジス・チャーミング・マンは、シングルテイクとは違った演奏でかなりイカしてます。
この紙ジャケ盤は、限定発売のようなので、在庫のある内に買っておきましょう!!
ブリットポップの幻
★★★★★
私が一番最初に手にした The Smiths のアルバムがこの Hatful of Hollow であり、当時はLPレコードでジャケットの見開きに書かれている歌詞を訳しては口ずさんでいた。20年以上経った今でもその中のフレーズがふと頭に浮かび口ずさむことがある。救いようの無い空しい歌詞ではあるが、誰もが夢想し経験するであろう心象をとてもうまく表現している。The Smiths を知るうえでは、数あるベスト盤を選ぶより、このアルバムを最初から最後まで通して聴くことをお勧めする。
不思議な統一感のある編集盤
★★★★☆
デビュー作の後を追う形でリリースされたお宝音源を集めた編集盤。REMもキャリアの早い時期にOut-Take集を出していたが、それと同じくこの種の作品としては特に発売時期が異例の作品と言える。当然ファースト由来の曲が多いが、スタジオライブやシングルなどアルバムと一曲も重複しない大盤振る舞い。独特のめくれ上がった裏声も控え目にどちらかと言えば感情を抑え気味のモリッシーに対して、リズム隊の張り切りぶりが目立つライブ演奏。特にマーの繊細さに拮抗するロークの骨太なグルーヴさが凄い。聴いておきたい音源ではあるが、出来は全てが最良とは残念ながら言えない。例えばフェードイン/フェードアウトの編曲とぼやけた音像のシングル"Hand in Glove"、ギクシャクしたハーモニカが曲と分離している"Still ill"はアルバム版に軍配が上がるように思う。
モリッシー&マーの短かった蜜月を象徴する"Back To The Old House"が当時も今もどこか懐かしい郷愁を呼ぶ。時に対峙し、時に寄り添う恋人のような音、互いが互いを必要とした運命の関係だったことがわかるこのライブ音源と、達観した歌唱にマンドリンの響きが秀逸な16は特に朽ちない輝きを保ち続けている。アルバムの性格上音質にバラツキがあるのが残念だが、誰もが実は思っていながら口にできないでいる本音を歌にのせた"Heaven Knows I'm Miserable Now"も含め、デビュー作よりも初期の青いThe Smithsを強く印象づける本作は、その後数多く登場したコンピレーションと線引きされるべき不思議な統一感のある作品である。