70年代のフュージョンをリアルタイムで経験した人にとっては、懐かしくもあり、涙が出そうになるアルバムだ。スタッフはニューヨークのクラブ、ミケールズに出入りするスタジオ系ミュージシャン6人によって結成されたオールスター・バンド。とにかくメンバーの顔ぶれがすごい。リチャード・ティーのキーボード、ゴードン・エドワーズのベース、エリック・ゲイルとコーネル・デュプリーのツイン・ギター、スティーヴ・ガッドとクリス・パーカーのツイン・ドラムスというラインナップ。リーダーはゴードン。プロデュースはトミー・リピューマ。彼らは76年のモントルー・ジャズ祭に出演して絶賛されたが、同年発表したこのデビュー作も大いに話題となった。
6人編成といっても、上記のようにホーン楽器はまったく入っていない。要するにリズム・セクションだけのバンドなのだが、彼らが生み出すグルーヴ感がとにかく最高で、思わず体が揺れてくる。ティーのフェンダー・ローズ、ガッドのタイトなリズム、ゲイルの泣きのギター…。たしかにこのバンドは特上のクセモノ集団だった。(市川正二)