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まともな人 (中公新書)

価格: ¥735
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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日本社会に向けた 養老式警世の書 ★★★★★
本書というか、養老先生の著作は私にとってはコーヒーブレイク的に読む方がメインだった。本書もそのはずだったのだが、今回は結構難しく、考え込みながら読んでしまったために時間が経ってしまった。いつもなら、「ほほーそういう考えもあるのか」みたいな軽いタッチでちょっと引いた所からの意見だったのだが、今回は結構熱かった。

本書は2001年から2003年頃の国内、外国問わず様々な事件、出来事を幅広く取り上げている。どれもこれも個別の事象は相互に連結していないようだが、養老先生の視点から見ると、根柢の部分では何やら共通の「危険」要素が蠢いているように思える。個人も、国も会社も学校も、全てがそれぞれ閉塞状況に陥る中で、日本人はじっくりと自分の頭で冷静に、何物にも捉われず何かを思考出来ているであろうか。重要なことであれ、何であれ、脳で考えずに、脊髄反応的に接しているうちに、心も体も疲れてしまっているのではないか。その全体的な疲れ、閉塞感が至る所で支配的になり、微妙に地盤沈下してくるうちに全体がでこぼこになってしまったことが全体を貫く大きな要因ではないか。

本書は随筆であり、各項目が独立した読み切り形式のため、本書の主張に明確な解などはない。しかし私が読んだ感じでは、日本人全体に向けた、警世の書であるように思えたし、日本人全体が知性の向上に努力し自分の頭でしっかりと考え、判断する力を養わないと、本当にこの国の社会の将来は暗いよと言っているように思えたのだ。
養老先生流の時評 ★★★☆☆
本書は、『中央公論』に連載していた時評を、新書のかたちで
一冊にまとめたものである。したがって、一冊を通してのまとまり
というのはない。

2003年の発売であるため、当時の時事問題について、養老先生流の
文調で次々に斬っていくのは読んでいて興味深い。

養老先生の本はこれで3冊目になるが、どれも筆者なりの「節」があり
それが人を惹きつけるのだろう。その文面からは筆者の知性と
頭のよさ、深い洞察力も感じることができる。
ただ、凡人である私は養老先生の本は時折深すぎて理解が届かないとき
もある。この本も、他の本同様、難しく感じる箇所もあった。
すべての脳は完全では無い事を考慮に入れる事で変わること ★★★☆☆
「バカの壁」の養老先生の2001年1月から2003年9月までの(だからあの9.11を含む)時事評論です。ですから、様々な時事ネタに(歴史教科書問題から、靖国参拝問題、田中外相と外務省問題、9.11同時多発テロ、脱ダム宣言、一神教原理主義者、などなど)考え方の、普通とされている、ニュース的割り切りと理解の死角を浮き彫りにしてくれます。


根底にあるのは「バカの壁」とほぼ同じ話しなのですが、その考え方を時事問題に絡めて理解出来るので、なかなか面白いです。歴史教科書問題についてはまさに、検定そのものを失くしてそれぞれが好きな教科書を使う事に何の問題があるのかと私も思いました。「人間の限界は脳の限界」とか「原理主義に反対する原理主義の恐れ」とか「すべての脳は完全では無い事を考慮に入れろ」とか「唯一神を信じる人たちの問題にはほとほと愛想が尽きた」とか、とにかくキメのセリフがいちいち切れ味が良いので、またその事をさらりと交えてきますので、刺激的な本です。


ただ、ちょっと極端かな?と思う切り方も(私が気になったのは江戸時代が平和であったという養老先生の認識にはちょっと抵抗ありましたし、子供の犯罪の話しもちょっと極端ですし、カースト制度を肯定するのも、ちょっと行き過ぎな感じがあります、もう少し妥協点が極端じゃない所があったのではないか?と。しかし、その考え方そのものは有りだとも思うのですが。)ありますし、全てに同意できるわけでもありませんが、私の狭い脳の中の非常に大きな死角に光を当ててくれる文章で、面白かったです。


自分の知らない視点に立たせてくれる大きな転機(やはり私が今まで生きていて感じた1番大きな出来事はやはり9.11です、今のところ)を含めた時事評論です、自分の死角に興味のある方に、養老先生が好きな方にもオススメ致します。
率直な意見 ★★★★☆
 解剖学の専門家である著者が経済的、政治的、社会的諸問題に対して、率直な意見を述べた時評集。その道の素人だからこそ言えるような過激な発言も含まれてはいるが、その正直な物言いには納得できる部分も多い。

 中でも印象に残った部分をいくつか紹介する。

 教養はものを識ることとは関係がない。やっぱり人の心がわかる心というしかないのである。それがいわば、日本風の教養の定義であろう。(中略)心こそ人類が共有するものなのである。(多頭の怪物の心がわかるか)

 個性のあるのは身体で、頭にあるのは共通性だ。(中略)現代人は「私は私」、個性を持った同じ私だと信じて疑わない。「同じ」なら「変わらない」わけで、変わらないのは情報だから、自分は情報だというのが現代人なのである。(目的のない組織と個性のありか)

 十九世紀以来の百五十年、科学は生きものを情報化すること、つまりイカをスルメにすることに専心してきた。(地球温暖化論に根拠はないが)

 自分の専門分野のみならず、様々な問題に対して幅広く、率直かつ的確に自分の意見を述べれるようになりたいものだ。
真理は身も蓋もない ★★★★★
環境が悪いとか、未来に希望が持てないとか

なんだかんだと少子化の理由を述べ立てるが・・・

本音は「子どもはいらない」と思っている人が

多いというだけではないのか?など

あまりにも直球なので、のけぞってしまうほどの

過激なメッセージが満載です。

私が、最も面白いと感じたのは日本人の特殊性について。

それは、死者を人と見なさない。という考え方。

死んだ人は人ではない・・・

こういった日本人の考え方の特殊性にもっと

自覚的にならないと、例えば中国とのイザコザは

絶えず生じるだろうと述べられています。