鋭い文章!
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さらりとした文章であるのに、その指摘は鋭い。
うろ覚えだが、ブログというのは、強いストレスが常態した不安を自己表現で解消しようとするココロミだそうだ。
納得!
読書の神髄をついている1冊
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本書は荒川洋治のエッセイ集である。
荒川のエッセイの最良の点は、なんと言っても一篇が短いことだ。せいぜい4ページで終わる。それでいて、寸鉄心を刺すところがたまらない魅力である。
本書の中の、「ひまわりと太陽という一文」に、「読書によって心が広くなるより、狭くなる人の方が多い」とある。一種の読書否定論だ。読書でいちばん危険なのは、「自分の好みのものしか読まなくなることだ」。と彼は言う。好みの分野の知識は増えても、「心はますますかたくなになるばかりだ」
これは50年前に北村太郎という人の書いた本の中から抜き出した一節である。たったこれだけの文で、読書の神髄をついているのではないだろうか。
あらゆる場所に文学が
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著者はかねてから「文学は実学だ」と言ってきた。
それは、文学を読むことが生活に直接役に立つということを言おうとしているのではなく、何気ない出来事を、平凡な人々を一つの文学として捉えることで、ずいぶん見晴らしがよく味わい深いものになるのだと、著者は言っているのだろう。
サウナでテレビを見ながら、隣の人と話をする、一人が出る、また別の人が入ってくる、同じ話題で、言葉がつながる、そしてまた一人出て行き、、、そんな出来事を、著者は一つの文学として、切り取ってみせる。言葉があるところ、文学がある。ささやかな言葉を大切にすること、言葉は生きている以上、その感受性は鋭敏であること、大文字の主張よりも、小さな呟きを守ること、なるほど文学は実学であると、読者は思わされる。