エモ・スクリーモバンドの２ｎｄ。前作から路線は変わらず、相変わらず独特で中性的なハイトーンＶｏを軸に構成。ピロピロ鳴るＧが前面に少し押し出され、若干疾走感が出てきたが基本はミドルテンポが占めている。浮遊感に富んで透明感のあるサウンドは健在なので前作が気に入ったならば買いだ。"

昨今の飽和状態にもかかわらず、相変わらずの増殖アメーバ状態のスクリーモムーヴメントに飛んで火に入る夏の虫、1枚アルバムを出しては消えていくバンドが多い中、やたらと似たような音作りや曲展開をするバンドには目もくれずSAWはその他大勢がそうするように安易にスクリームしたりすることなく、彼らの基本路線を着実に歩んでいる気がする。今作はアップテンポで勢いがある曲とバラード調の聞かせる曲とのメリハリという点では前作とは違い、ほぼアルバム全曲に渡ってミドルテンポ〜若干ややアップテンポ気味の楽曲群中心という、一定した構図となっている。そのためか前作と比較すると、一聴しただけでは「これは!!」というほどのキラーチューンは無いように感じ、印象も薄かった。ギターやドラムによるメタリックな要素も前作より薄れた感がする。しかし、盛り上がりには欠けるにしても聞き込めば聞きこむほどになかなか味のある仕上がりであり、ボーカルのチャールズのハイトーンボイスもしつこくなく、アルバムを通して聴いて耳なじみは良い。スルメアルバム的な様相を呈しているとも言える。アルバム１枚を通じて作品として考えるより、アゲアゲでノリの良いキラーチューンが数曲入っていれば残りの曲は捨て曲でも構わない、というようなアルバムを求めている人には物足りなさを感じるかもしれない。前作のイメージそのままに、勢いで購入に踏み切るとSaosinの2ndとまではいかないにしても、ある意味肩透かしを食らうかもしれないので、myspace,purevolumeで視聴した後に購入することをお勧めする。

前作と圧倒的に違う点は、声にエフェクトを随分かけていた前作と違い、素の声を生かした感じでヴォーカルが全面にでている。エフェクトかけている箇所はありますが前作みたいに過剰でないので美声が堪能できます。ドラムの電子的なパーカッションは今回抑えてあり生バンド感を全面に押しています。ギタリストがもうちょっと頑張ってほしい感じはありますが、ヴォーカルの声は絶品で素晴らしい。