ジャズ喫茶への共感と反撥。
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ジャズ喫茶世代からはずれていますが、吉祥寺のお気に入りのお店には出没して、
ジャズを楽しんでおります。
著者のマイク・モランスキーさん、ミネソタ大学でアジア言語文学学科の先生をなさっている方の
日本留学当時からのジャズ喫茶探訪を通しての戦後の日本文化を歩くをサブ・タイトルにした、真面目で楽しい文化論です。
「キーヨ」、「ヴィレッギ・バンガード」、「汀」、「DIG」、「ママ」「シャルマン」などのお店の名前を聞いただけで、
青春の熱い血潮が逆噴射なさる方たちもいらっしゃることと思います。
そのような方には、まさに、必読のジャズ喫茶論です。
日本独自の<ジャズ文化>を育んだ世界でも特異な「ジャズ喫茶」とは何だったのか。
実見に裏付けられた興味深い考察は、一読の価値があります。
計り知れないほどの、ジャズ喫茶の功績。
そして、その反面、かつては、若者の場であったジャズ喫茶が、オヤジの場になってしまったのは何故なのでしょう。
「ジャズは大人の音楽」という偏見はどうして定着してしまったのでしょう。
小難しげなジャズが高尚であるという偏見はどのようにして、生まれたのでしょう。
ジャズ喫茶で聴くジャズは、元来若者の音楽であり、高校生・大学生など二十代が主な層だったはずです。
けっして、現在のような<中高年の音楽>ではなかったはずです。
私の、すごーく、いやな、所謂、一部の<真正ジャズ・ファン>の唱える、ジャズは「修得するもの」「勉強するもの」という
日本独特の「ジャズ精神論」、「ジャズ道」なるものの発生過程を解き明かしているくだりは、とても興味深いものがあります。
「ジャズを語りたがる人」より、「ジャズを楽しむ人」であり続ける方にお薦めの、超五つ星の本。
モランスキーさんへの、エール:
One of the rare books to which the epithet <GREAT> is really applied !! ☆☆☆☆☆!!!
同時代の日本のジャズ史
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ここによく名前のでてくるジャズ喫茶、よくいったとはいえないけど、行きました。もちろん、ちぐさやダウンビートもいいけど、ここには松山や今治の店がでてくる。こっちのほうがよくいったし世話にもなった。
僕は、1970年から80年代だけど、ここでの話は、もうすこしあと。でも、同時代史だ。うれしくて、涙が出てきた。
多面的なジャズ喫茶論
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喫茶論といっても堅苦しくなく、楽しく、最後まで読めました。ジャズ喫茶という日本独特の空間をよく理解している著者だと思いました。続編が見てみたいです。