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七月七日 (集英社文庫)

価格: ¥630
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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これが最初の古処読書だったら、他の作品に出会えなかったかも ★★★☆☆
このところ古処誠二の作品をいくつか読んだ。特に「接近」にはほとほと感心した、感動した。それらに比べると、ここでは話が作り物っぽい。語り手はともかく、登場人物の視点がすでにして戦後の視点である。また、捕虜と一緒に日本兵に化けるエピソードも、かなり無理があるような気がする。むろん小説はどんな無理も通すのかもしれないが、リアリティに欠けるような気がする。そのせいか、エンターテイメント的な面が強くなってしまったのではないだろうか。台詞回しなどもちょっとハードボイルド風で、このテーマではそれは相応しくないように思う。ほかにも、育ちの良い少尉が謝って民間人を殺したときの狼狽は、自分の部下が一人戦死しているのだから、ちょっと無理がないだろうか?

それと、この作者はひょっとして文体を毎回変えているのか?「敵影」にあった箴言風の文言がここにはほとんど見あたらない。文章のリズムは同じだが、なにかジャンルが違うような気がするほど。

しかし、あちこちに見られるセンスの良さに、もうしばらくこの作者の作品を読み続けてみたい。★は 3.5 というところ。
あまりに苦しい。あまりに切ない。 ★★★★★
軽薄な戦争批判のドラマの溢れる昨今、この様な小説が新たに生み出されたのは驚くべき事である。
これはあまりに重苦しく、あまりに切なすぎる。

氏の作品は、特に日本軍と米軍の兵士が接触する場面が多い。
両軍の兵士の根本的な差異は余りに大きく、深すぎる。
特に氏は言語・風習といった観点からの描写には定評があるようである。
日米の苦しみを丸ごと引き受けたかのような日系2世の語学兵が主人公の今作は、特にそれを余す事なく描き切っている。
深い断裂に苦しみ、仲間を失い、どちらの国にも憎まれる日系2世の「ショーティ」が結末に下す決断は余りに非情だ。
しかし、もし結末まで読んだのなら、彼はそうせざるを得ないのだと誰もが必ず理解するだろう。

救いもなく、報われることもない、胸に焦付くようなこの戦争小説は、昨今の日本人が到底生み出す事のできない傑作だ。
軽々しく共感や感動などできない。
しかし、軽薄さを廃し、ありきたりな戦争小説を超越したこの様な作品が、もっと広く読まれる様に願う。
戦記ものとは違う ★★★☆☆
最後までさくさくと読みすすむことができました。
日系アメリカ人が語学兵として戦場へ。そこで、日本兵・民間人に投降を呼びかけるが・・・。
日本兵を射殺したり、日本軍の軍服を着て日本軍に紛れ込んり・・・。
私は戦記ものがすきなので、その感覚で読み進みました。他のレビューで泣けるという話がありますが、まったく泣けませんでした。

日系アメリカ兵といえば、山崎豊子の「二つの祖国」ですが、これと比べるのは少しかわいそうな気もします。ま、ジャンルも違いますが。
言葉に胸を打たれる ★★★★☆
この本を読んでストーリーより、「言葉」によって胸を打たれました。
作品中に出てくる主人公と護衛兵や主人公と日本人捕虜との口論の
やりとりにはものものしさが意味でありました。

ときどき出てくる主人公の幼い頃の記憶のエピソードなどにも
胸を締め付けられ、主人公の苦悩が痛いほど伝わってきます。
ただ、私の日本語能力が低いからだと思いますが、文章が難解なのが
玉に傷。一度読んだだけでは状況が理解できないような文がところどころありました。例えば、一対一の格闘の場面で主人公が銃の引き金を弾いた、という描写があれば私は相手を射殺したのかと思うのですが、相手を打ったわけでは
なかったり、なかなか情景を思い浮かべづらい場面がたくさんありました。

でも、扱ったテーマも良かったし、太平洋戦争の知られざる一面を
知るにはとても興味深い本だと思います。
このようなテーマに興味がある方にはおすすめ。

技量もさることながら・・・・ ★★★★★
読みながら涙が止まらなくなったのは、いったい何年ぶりか。記憶にない。