ウクライナから移民としてアメリカへ渡り、武器の密輸商人となったユーリーがたどる衝撃の運命。ユーリーのキャラクター像や、エピソードの数々は、実在の武器商人の証言を基に作られている。ソ連の崩壊により、余った武器を、アフリカの独裁国家などに横流しするユーリーを、インターポールの刑事ジャックが追跡。そこに、ユーリーの妻や弟との悲痛なドラマが絡んでいく。
危険な顧客を相手にした、ユーリーの臨機応変の対応が見もので、ニコラス・ケイジが、本心を表情に出さないユーリーにハマリ役。「リベリア」といった実際の国名や「ビン・ラディン」、さらにはアメリカ大統領の責任にも言及するなど、あまりにも現実的な要素やセリフに、観ているこちらが「ここまで描いていいのか?」と心配になるほどだ。世界に存在する銃の数なども、恐ろしい現実を伝える。ただ、映画作品として、全体にサスペンスなのか、人間ドラマなのか、はたまたブラックコメディなのかが曖昧。ジャンルを特定させない不可解さも、アンドリュー・ニコル監督の作風なのだが。(斉藤博昭)
コミカルでシニカル
★★★★☆
皮肉っぽくも根底にあるテーマは「反戦」で、ストレートに伝えるよりも自分には良く伝わりました。
映画としては、序盤テンポも弾丸目線のオープニングは「こんな映像撮ってみたかったのかな」とワクワクしました。 …後半は「疲れちゃったかな?」ってくらい失速感がありました。
監督の狙いなのか、どの登場人物にも深く感情を移入させる事のないように工夫してる気がします。
主人公の感情レベルが高まってきた瞬間、ふっと抜けて淡々と話はじめたり…しかし、それが決して裏目にでていなくて良かったです。
ニコラスとイーサンの間柄みたいな表現がなんとなく「ルパン&銭形」な雰囲気で好きです。
ニコラスをあまりヒーロー的にしてしまうとテーマがひっくり返ってしまうのはわかりますが、やはりちょっと重めな後半が「もう一回見ようかな」って気持ちを足踏みさせてしまいます。
良い作品ですが「お気に入り」にはちょっと足りない感じですかね。
リアルすぎます。
★★★★★
武器商人のストーリーですが、あまりにも生々しく(実際に存在していますが)、なぜ、紛争が無くならないのかを実感させられる映画です。
戦争映画ほど人が殺されるシーンがあるわけではないのですが、「これはノンフィクションだ。」と思うと背筋がぞっとします。
ニコラスケイジがいい演技をしていて、さらにリアルさを演出しています。
リアリティーがある。
★★★★☆
本作は武器商人を扱った作品です。
ニコラス・ケイジは武器商人で、
イーサン・ホークはそれを追う刑事なのですが、
二人ともストイックに自分の仕事をこなしていく姿は渋いです。
しかし、武器商人の姿が、
淡々と仕事をこなしていくビジネスマンとして描かれており、
そこでは「武器を使う側が何をしようが関係ない」とか、
「自分が売らなくても誰かが売るから、それぐらいなら自分が売る」
というような考えで武器を売っています。
そういう描き方は、とてもリアリティーがあるように感じるし、
それで恐ろしい気分にもなりましが、
本作でリアリティーを追求していくことはとても大切なことなのだと、
観終わった後にはそう思える作品です。
だから紛争は終わらない。
★★★★☆
「だから紛争は終わらない」この映画を観て強く感じた。
イントロの銃弾の視点からの映像からもうすでに引き込まれる。
冷戦など歴史的背景の裏で我先にと商売に勤しむ武器商人の描写は素晴らしい。全編を通しそれぞれの俳優の心の動きが表情など細部に現れておりどのシーンも物語に欠かせないものだった。弟の人生、両親との関係なども考えさせられる。
武器商人として数々の国々を飛び歩き膨大な量の武器を売る。ニコラスケイジが演じる武器商人は自分について必要悪とさえ述べる。
この映画に加えて「ブラッドダイアモンド」「ナイロビの蜂」を観ると、いかに平和を謳う常任理事国各国が裏で途上国の紛争を助長し食い物にしているかが分かる。
需要と供給
★★☆☆☆
武器商人の映画。
ニコラス・ケイジがハマり役。
オープニングの弾丸一人称視点が
よく作られているのでテンション上がる。
日本も武器を作って輸出し、外貨を稼いでいる以上、
単純に「戦争反対〜」というのではなく、
もし、自分の周囲に死の商人がいたら? 実家が武器屋だったら?
などと、想像して観ると、今までとは異なる戦争感が味わえるハズ。
結構考えさせられる映画
★★★★☆
世界の闇の部分を描いた映画。
1人の男が武器承認になりその末路までを描いている。
メッセージ性の強い映画ではあるが、ドキュメンタリー映画のような堅苦しさや重さは感じられなかった。
平和ボケして生きていける世界ならそれに越したことはないけど、そんなことも言っていられないこの御時世。
こんな世界もあるんだなぁ程度に見ておくのも良いかと...
「巡り巡って結局は誰のせい?」といった終わり方が印象的でした。