わが国ぶり、雅の文学の幕開け、勅撰和歌集の嚆矢
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〈優雅・美麗〉を絵に描いたような国宝「古今和歌集序」(伝源俊頼筆)に魅入られる。〈やまとうたは、人の心を種として、万の言の葉とぞなれりける〉に始まる序文の力強さは貫之たちの意欲である。
我が国最初の勅撰和歌集。現存伝本中、最古の完本国宝「元永本古今和歌集」(伝藤原定家筆)も写真で紹介されている。
小野小町像は「古今和歌集一首撰」より名歌「思ひつつぬればや人の見えつらん…」とともに掲載している。
巻頭の仮名序に対して巻末の真名序も国宝清輔本があって、貴重な伝本(訓点と注の書き入れがある)
京都嵐山の桜花は「拾遺集」からで「古今集」では紅葉の名所として詠まれることが多かった。紀貫之が大堰川で「夕月夜小倉の山に鳴く鹿の…」古今集の代表的風景である。
見開きカラー写真では「吉野龍田図屏風」桜・紅葉の対比もまた美麗な古今集世界の象徴として鑑賞に値する。