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宇宙からの帰還 (中公文庫)

価格: ¥840
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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カバーに若干のスレ、微キズありますが、それ以外はきれいです。小口に大きな汚れ、キズありません。本文も使用感少なくとてもきれいです。全体に良い状態です。昭和59年10月第31刷。
科学の可能性と限界 ★★★★★
久々に夢中になって一気に読んだ活字本。


21世紀の現在、時代は折り返し地点にある。車も空を飛ばないし、勿論ドラえもんも現れない。恐らくこれからの地球に劇的な変化は起こらず、戦争の世紀により掻き混ぜられた世界は沈殿、凝固して行くだろう。鏡の千年が始まる。

その中にあり、人類史上最高の科学的沸点を向えた一台プロジェクト『アポロ計画』世界唯一の同時革命が起こったと言われた1969年、それは実現した。

人は築き上げた科学という剣を総結集して、かつて神の領域と言われた神話の地平へと実際に足を踏み入れたんだ。近年月面着陸は嘘だったとか言うニュースが世間を騒がしたが、これこそ愚の骨頂。世界が行き詰まりにあることの証拠だろう。


アポロ計画は1972年の17号で終止符を打っている。地球の総人口60億に対し、たった20人弱の人間だけが、地球以外の天体(月)に到達している。


今後現れるかも不明な伝説の月面着陸者及び宇宙飛行士に、科学的側面からでは無く精神的側面から迫った力作!


宇宙からの帰還者たちには、その後精神に異常をきたした者や、宗教家になった者、画家や詩人になった者がいるのだが、反面ビジネスや政界で成功している人間もいる。それらの人達からできるだけ広範に、素晴らしく的確なインタビューをとってまとめている。全盛期の立花隆のインタビューは冴え冴えで、飛行士からも「「よくぞこんなことを聞いてくれた!」と絶賛されたもの。この本が日本人の手で成されたことを誇りに思いたい。


発刊されたのは25年前なのだが、今読んでも逆に新鮮で、驚きと発見に満ちた一冊となっている。もうすっかりマスト本の一つとなってしまった。しばらくしてから、また読みたい。司馬遼太郎もこの本を愛読していたらしいし、飛行士の野口さんはこの本と出会い、宇宙を目指したそう。


宇宙でESP実験を行なったというエド・ミッチェルのラスト付近のインタビューは本当に開眼もの。人間とは、神とは何か?宇宙体験とは、宗教体験と限りなく近いものなのだという事実。全てのものは、表現方法が違うだけで同じことを表そうとしている!?


冷戦時代にもし人類が宇宙に行ってなかったら、恐らく核戦争起こってただろうなあ〜っと思わさずにはいられない。



ネットが星を覆い、電子や光が世界を駆け巡っても、民族や言語が無くなる程には情報化してない近未来までに。。。人は次のステージにいけるのだろうか?




科学の限界と可能性を同時に感じた。

あ、勿論一瞬でねw
アポロがインチキだったら・・・・・・ ★★☆☆☆
 イランの大統領は、アポロ計画による月到達はハリウッドがつくったインチキだ、と述べている。また、田中角栄は、どうやらアメリカの策謀により逮捕されたという疑いが濃厚だ。
 立花隆氏のようにあまり勉強し過ぎるのも考えものだ。大局を見誤っているような気がする。
許容されうる異端 ★★★★☆
宇宙飛行士たちから、科学的な言葉で語られるその記憶。そこに危うさを感じる人も、いかがわしさを感じる人も、いてそれは自然だと思う。昭和の、あるいは大戦後の世界の人たちの科学に対する憧れと畏れを体現したかのような、遥か彼方への好奇心とフットワークの織り成した理知的な文章。それはあくまで「科学的」に綴られているだけで、脈々と発展してきた「科学」そのものではない。しかし重版によりその語りが現在にまで伝わっているのは、宇宙に行けない大衆から宇宙へダイレクトに繋がる畏れと憧れへの回路としてだろう。立花隆さんのした仕事も十分「宇宙飛行士的」だ。
宇宙に行きたい ★★★★☆

元宇宙飛行士たちの伝えたい、と
立花隆の聞きたい。
ふたつの知的欲求がぶつかり合い、
話が宇宙から精神世界へと進む様子は
スリリングです。

宇宙飛行体験を
「神のほほにふれた」
という発言には興味をそそられました。
宇宙体験は、ある種の悟りの境地なのかもしれません。

もう30年近く前に出版された本ですが、
その内容は色あせることはなく、
今読んでも新鮮に感じることでしょう。
逆説的に言えば、
宇宙開発が進んでいない証拠でもあるのですが。

ほぼ全員が
宇宙から地球を眺めていると、
人類同士の争いが、バカバカしく思える。
と述べていたことが印象的でした。
エドガー・ミッチェルのインタビューが一番気になる「宇宙からの帰還」 ★★★★★
スカイラブ4号の船長、ジェリー・カーへのインタビューのくだり――。
立花「私が会った宇宙飛行士の中には、ディーク・スレイトンや、ポール・ワイツのように、意識の変化なぞ何もなかったという人もいる」
カー「それは彼らに意識の変化が起きなかったということではなくて、彼らが自分に起きた変化をみとめたくないというだけのことだ。(中略)体験者に必ず意識の変化をもたらさずにはおかないたぐいの体験というものがある。宇宙体験はそうした体験だ」

立花隆のアストロノーツへのインタビューをまとめたこの本は、イントロダクションである第一章から凄いスピードとリズムで読者を引き込んでいく。
途中、様々なアストロノーツの飛行前後の人生に触れたりしながら、「心理学でいうピーク体験、宗教学でいう神秘体験、瞬間的に真理を把握したような思い」である、宇宙飛行による自分の意識の変化を明確に語る、エド・ミッチェルとラッセル・シュワイカートへのインタビューでせりあがり、最高潮に達し、終わる。

この本を読んだものは、立花隆自身がそうであったように、自分も宇宙飛行をしてみたいと、やはり切望するのではないか。それほど、アストロノーツの話には強烈な魅力がある。
とともに、著者が「まとめ」で述べているように、やはり彼らの話は安易に総括したり結論付けたりできるものではない。
人々の想像力を超えた、実体験をしたもののみが語りうる体験だからである。

自分たちが生きている間に、自分たちもまた彼らと同じような体験をできる日がくるのだろうか。
孫の世代では、確実にその日が来るのであろうか。

数年ぶりに読み返して、またそんなことを思った。
また何年後かに読み返すときが来るまで、そっと閉じて傍らに置いておく。