芥川賞作家の犬ファンタジー
★★★★☆
主人公ブル太郎はその名の通りブルドッグ。こわもての顔にずんぐりした筋肉質の体。表情豊かとは言いがたく、飼い主が門のところに立っていてもシカトして通る。しかしこのブル太郎、弱いものにはとてもやさしい。ある日庭にやってきた傷ついたオオタカを発見した彼は、その大きな鳥が傷を癒し、山へ帰るまでずっと寄り添った。友達になったオオタカが最後にブル太郎のもとへ挨拶にやってくるくだりにホロリとした。ブル太郎を巡る家族のささやかな日常が描かれていて心が温かくなる。
モデルとなったのは著者が飼っているブルドッグ(名前はブル太郎)だそうで、カットに使われている写真は彼のもの。著者と一緒に写っているブル太郎は嬉しそうに笑っています。ほのぼの。