読みにくい
★★★☆☆
米国企業のM&Aに関するポイントについて解説された本。
類似書がかなり20年程度さかのぼる古いものしかなくなっていた状況下で、このような日本語文献が手に入るようになったことは喜ばしいが、読みづらいというか、読む人を選ぶ本ではないかと思われる。
特に、トピックごとに叙述の濃淡の差が激しく、複数の著者による分担執筆であることがはっきりと見て取れるのだが、中には箇条書き過ぎて、「これは何かのプレゼン資料の箇条書きをそのまま和訳しただけではないのか」と思わせる部分もある。
そういう箇所(たとえばアーンアウトの箇所など)は、読み手の前提知識がないと何を言いたいのか全く理解できないであろう。
実務に携わったことのある人間、もしくはこの分野の研究をしている人間が、行間の意味を埋めていかなければ、読むに耐えない箇所が多い。
ただし、この分野の本の希少性から、3ツ星をつけたい。私がロースクールで学んだM&Aの教科書は、Ginsburg教授とLevin弁護士が編纂した4000ページに及ぶ4分冊の大著だった。そこからすれば、良くもここまでコンパクトにされたと思う。
ただ、コンパクトにされすぎた代償は大きいので、次回改訂されることがあれば、改善されることを期待したい。