読めば読むほど、深みにはまっていく本
★★★★★
主人公(行助)の取り巻きの構成がよく、主人公の個性をよく引き立てている。特に義兄との関係において、優しさと紙一重のところにある残酷さを見事に表現している所が素晴らしい。どんどん文章の中に読者を引き込んでいく、手法は見事だと思う。登場する女性は、ややでき過ぎの感もあるが、主人公の脇役として、存在感を充分出しており、ある意味、本小説自体の潤滑剤的な存在にもなっている。私にとって愛着のある一冊。
清澄そのもの
★★★★★
主人公が少年であるので、立原にはめずらしく女の情念がドロドロしてこない。主人公は大人びていてちょっとかわいげがないともいえるが、厳しい自らの生をまっすぐ見据えて立つ姿勢は見事。身を切るように冷たい中で、清澄な輝きを見せる冬の早朝のような読後感だった。とくに中・高校生から大学生に薦めたい。
大切なものを守る勇気を考えさせられる本です
★★★☆☆
主人公の行助は、家族を守るために無実の罪で刑務所に2回も入ることになる。読み進めるにつれ、こんなに良い子はいないと少し違和感を感じることになるのだが、それでも読むものの心をつかんで離さない。 大切なものを守ることの本当の意味をすごく考えさせられる一冊です。家族とけんかしたときに読んでみてください。