岩波版との比較
★★★☆☆
このタイトルの書籍は、以前は岩波文庫から「ロダンの言葉抄」ロダンの言葉抄 (岩波文庫 青 554-1)として販売されていました。どちらも、大正時代に光太郎が出版した「ロダンの言葉」と続く「続ロダンの言葉」からの再編です。
岩波版は、編も彫刻家が携わっており、「彫刻家ロダンの言葉を、彫刻家高村が訳し、彫刻家たちが編集した」彫刻家延いては芸術家へ向けた内容で、注や作品写真やロダン年表なども盛り込まれて、ロダン一色の内容でした。
講談社版には、注や作品写真やロダン年表はなく、代わりに巻末に光太郎についての解説と光太郎の年表がついています。
つまり、両者は同じタイトルながら、主体が違います。岩波版は、ロダンが主役で光太郎はあくまで翻訳者ですが、講談社版は、翻訳した光太郎が主役なのです。
彫刻家としての光太郎の意志がそのまま残されているのは岩波版だと思います。
また、両書で、取り上げている文章に違いがあります。文章量は講談社は随分削減されていて、字は大きいですが、本の厚さは岩波版の半分ほどになっています。
岩波版は2009/02/18現在、版元品切れ重版未定とのことです。