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国民の道徳

価格: ¥2,000
カテゴリ: 単行本
ブランド: 産経新聞ニュースサービス
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家庭内暴力、学校崩壊、少年の凶悪犯罪、日本型経済システムの破綻、道徳と国家意識の喪失、安全保障問題の前に呆然自失する国民、リーダーシップの不在。20世紀末の日本社会が爛熟の果ての腐臭を放っていることは、日本人の誰もが認める現実である。戦後50年、日本のオピニオンをリードしてきたエリート知識人、学者、マスメディアは競って、その病巣解明に当たっているが、いまだ納得できる答えは聞かれない。それもそのはずである、と著者は言う。「戦後」は日本の「歴史・習慣・伝統を破壊することに進歩を見出だした時代」であり、「日本の歴史を甚だしく蔑視」し「自由と進歩」「民主主義とヒューマニズム」を新しい価値観として唱導してきたのが「戦後知識人」だった。その行き着いた先が今の日本であってみれば、知識人たちに病巣解明ができるはずがないのである。

「道徳」とは「歴史・慣習・伝統に育まれた」価値観のことだが、戦後知識人は冷戦以前はソ連型思考につき、社会主義イデオロギーの実験が失敗に終わった現在は、アメリカ型思考に移行している。彼らが「ソ連型思考からアメリカ型のそれに無理なく移行しえた」のは、米ソともに歴史蔑視の国だからだ。著者は、その歴史蔑視こそが社会腐敗の病根であることを、古今東西の哲学者、思想家、社会学者の考察を比較紹介しながら解き明かし、日本の知識人、マスメディアが崇め続ける「戦後民主主義」なるものの実相を腑わけして見せる。

日本人はエリート知識人に導かれて、第2次世界大戦を「全体主義対民主主義」の戦いであったと信じ込んでいるが、ヒトラーもムッソリーニも大衆が民主的手続きで選んだのであり、スターリンも人民によって選ばれた独裁者だった。全体主義と民主主義は矛盾するものではない。そのことを見ぬかずに、民主主義を普遍的価値と崇め、伝統的価値観を廃棄して、いたずらに自由と平等を唱えてきた結果、個人が己れの欲望を放縦に主張する「みだらな」社会が作り出されたと言うのである。

670ページに及ぶ分厚さで、手にした最初は気おくれするが、語り口が平明だから、読み出したら止まらない本である。(伊藤延司)

俺様の道徳 ★☆☆☆☆
筆者は「歴史」「伝統」と繰り返し述べますが、国家神道主義は水門学を源流とし、吉田松陰を経由し、明治革命期のリーダーによって醸成されたもので、それ以前には存在しない非伝統思想であることはよく知られています。

「道徳の依拠すべき伝統とは大日本帝国である」というのが本書の主張の根幹ですが、その理由の説明がほとんどありません。これは思想書として致命的です。

戦争への反省なるナイーブな左翼的批判は置いておくとしても、なぜ明治前でもなく戦後でもなく、この時期の思想のみを特に伝統として扱い保守すべきなのかの説明は必要なはずで、その理由を示さなくてはならないというジレンマだけがうっすらと広く行間に漂っているようように見えます。説明できない故に欧米批判・デモクラシー批判に逃げる、そしてこのボリュームに至る、平たく言えばボリュームで誤魔化したと見立てることも可能です。

このような欠点は著者だけではなく、保守言論一般に見受けられる悪癖かもしれません。あるときは軽々しく、ある時は恣意的に、伝統でないものを「もともとそうだった」とか自分の好みの部分を取り出して「これが伝統」と片付けてしまう様はしばしば観察できます。そういう人たちは現代人に向けて語るべき主張は何も持っていません。

言うなれば「ホシュとは俺様である」ということを、反面教師として無駄に長い時間をかけて体感できることが本書の意義と言ったほうがいいかもしれません。もちろん未読の方に薦めるものではありません。この本を読んで感心してしまったような人は維新期を含めた思想の知識を得た方がよいと思われます。例えば小島先生の「近代日本の陽明学」などは良書と思います。

古くなった本ですが、他の方の書評を見ると西部氏にホシュ的慰めを求める方がおられるようですので、いまさらながら批判を加える次第です。
平衡感覚に富んだ価値判断論集 ★★★★★
 CSチャンネルで放映している西部氏の出演番組は、テレビ番組で唯一毎回録画して見ているが、毎回面白い。この番組を見る前は西部氏に先入観がかなりあったのだが、そのお話を聞いているうちに非常に納得できる議論が多くて、今回この著作を手に取った。この書物を編纂している「新しい歴史教科書を作る会」にはその発足当時から興味がないし、今もない。西部氏の書物が読みたくて、手に入れた。

 自分の中では西部氏の存在やその議論を意識する以前、何年か前ごろから、「人が口にして交わす言葉はすべからく価値判断を主張し合ってるのではないか」という思いが募っていて、今の風潮はとてもモラリスティックな傾向を示していると思い続けていたところだったので、この著書を読み始めるとそんな筋での先達の鋭く深い分析の数々が、端正な文体で縦横に展開されているのに圧倒された。自分が考えていたこと、そこまでは思いが至らなかったこと、どちらもとても明快に論が進んでいる。歴史を尊重する意識とその意図、文化・経済・社会についての捉え方、それこそ著者が日本的精神の長所という包括的な議論の道行きで、ふとした一行の背後にもさまざまな書籍が持つ知恵の裏づけがある。

 具体的な論点については自分で考え切れてない部分は氏の他の著作や他の人の著作もあわせてそれこそ包括的に考えたいが、自分が考えていた部分については非常に納得できるし、とても公平な議論だと思う。自分は右翼的な議論や行動は好きではないけれども天皇陛下には安らかにいらっしゃってほしいと思うし、日本の伝統は間違いなく重要で歴史を知ることは大事だと思っていて、西部さんの議論は非常に納得できる部分が多い。

 攻撃的保守思想家、とでもいうようなイメージとはかけ離れた、平衡感覚に富んだ一冊。
歴史的名著、日本の誇り ★★★★★
信じられないような事件が頻発し益々劣化していく日本の世情にウンザリし、この労作を再読してみました。
大部の書物ではありますが、毎ページの如く心に響く名言が正確な言葉遣いで綴られており、改めて大いなる感動と勇気を授けられました。
西部氏がその膨大な知識と深甚なる思索の果てに精魂を傾けて書き印されたと察せられる本著は、真の意味での道徳が人間が生きるうえで、そして真っ当な人間社会を形成するために如何に重要であるかを、分かりやすく解説し理解させてくれます。
この書物は古今の名著であり古典に列せられるべき快挙です。
西部邁氏は、いわゆる右と左の違いはあるにせよ丸山真男と並んで、戦後日本が社会科学の分野で世界に貢献し誇れる人材と言えるでしょう。
毎日1ページでもいい、皆さんに是非熟読をお勧めしたい傑作です。
道徳は必要なもの ★★★★★
いま「援助交際」という名の少女売春が横行している。自発的に売春する少女達の「他人には迷惑をかけていないのだから、何をやっても咎められるいわれはない」という言い分に対して、どう答えるか。
残念ながら今の日本社会にその答えは準備されていない。それどころか、道徳を説くこと自体が無効であると主張している人すらいる。
人間が生きていくということは、いかなる所作をなすか、という選択の連続である。そのためには、より正しい価値判断がなければならない。
近年、日本では「価値判断」の是非を論じる場が極めて少なくなってきたようだ。しかし、それを通らずしては「正しい生」に至ることはできないのである。
子供の教育を考える上で必読の書 ★★★★★
子供の教育をしていく上で何を我が子に伝えるべきか。自分の考えを整理する上で、これまで色々な本を当たりましたが、テクニカルなマニュアル本ばかりで嫌気が差しておりました。この本は自分がどの様な思想環境で生まれ育ったか、またそれについてどの様に捉えるべきかということが納得でき、とても有意義でした。今までこの様な本は読んだことがありませんでした。他の方がご指摘の通り本質を読み解くには難しい本ですが、著者もあまり簡単にしては不遜である旨のことが書かれておりますし、考え悩みながら自分の考えを整理していきながら読むことにこの本の意義があるのではないでしょうか。自分も再読3回目です。他の著書「知性の構造」も素晴らしいです。