内容的には他を圧倒してはいるものの、デメリットが2つある。1つは、CD化されていないことである。大部分の辞典、事典がCD化されつつある現在、もう紙の辞典には戻れない状況にある。レポートにしろ論文にしろ直接、パソコンに向かって作成する今、頁を繰る時間も惜しい。まして他の辞典で串刺し検索で一発で項目が検索できるのに、何故この辞典だけに、時間を取られなければならないのか、何故キーボードでの作業が中断されなければならないのかと思う。
辞典の改訂には当然コンピュータが使用されていると思われる。そうでなければ改訂に時間がかかり、新規の情報を求めている利用者の要望にこたえていないということになる。コンピュータが使用されていれば、CD化は容易であろう。
もう1つの!デメリットは、今後もCD化を検討していないことである。これは筆者が直接発行元に確認したことなので、あえて記載する。情報には内容と媒体の2つの側面がある。いくら内容が優れていても、常に利用者が求める媒体とは何かと考えなければ、本書の今後は暗い。恐竜が滅んだのが、環境の激変にあるといえるなら、IT時代の急流に本書は孤高の姿勢を保ちつつ、その岸辺で時代の変遷を恨むことになるのであろうか