心温まる感動
★★★★★
冒頭の「ごん狐」は有名なので省略で、以下、
本書の二番目、三番目と最後のお話を少しだけご紹介です。
「手袋を買いに」
寒い雪の日、
狐のお母さんが子狐に手袋を買ってやろうと思いますが、
子狐の片方の手を人間の手にして、一人でふもとの町まで買いに行かせます。
子狐は、戸のすきまからお金を持った手を差し入れますが、うっかり狐の手の方を入れてしまいます。
帽子屋さんは狐だと察知しますが、さて…
「赤い蝋燭(ろうそく)」
猿が人里で赤い蝋燭を拾い、打ち上げ花火だと勘違いして山へ持ち帰りました。
たくさんの動物たちがその話を聞き、集まってきます。
点火した時の動物たちの動作(描写)が面白いです。
「狐」
幼い文六ちゃんはキツネになってしまったと思い込み心配になることから、母親との対話が始まります。
「僕がもしキツネになったらどうする」(文六)
「私もキツネになる」(母)
「猟師や猟犬に追われたらどうする」(文六)
以下(省略)の、母親の言葉に涙が流れます。
他のお話もなかなか感動的で、
心の琴線に触れるからか、一度読んだら忘れられません。
もしまだお読みでない場合はおすすめです。
まさしく「大人向けの童話」
★★★★☆
小学生の頃に「ごんぎつね」を読んだことありませんか?私は国語の時間に勉強し、学芸会で劇をやったため、かなり思い出深い作品です。大人になってふと「ごんぎつね」を再読したくなり、新美南吉の本を探していてこの本に出会いました。
内容は「ごんぎつね」や「手袋を買いに」などメジャーな作品から、「疣」や「花をうめる」などマイナー(?)作品や幼年童話も収録されています。
収録作品が悪いのか全体的に「暗い感じ」の作品が多い気がします。一つ一つの作品の内容は悪くないが、ハッピーエンドな作品が少ない。「ごんぎつね」以外の作品が学校教育で使われていない理由がわかるような気がします。
作品自体は児童向けに書かれた物でしょうが、現在の価値観に照らし合わせてみると「大人向けの童話」であることがふさわしい。表紙・挿絵に版画が用いられておりそれが一層「大人向けの童話」であることを印象強くしています。
ごんぎつねの作者の作品集
★★★★★
「おじいさんのランプ」「最後の胡弓ひき」の、時代の移り変わりのせつなさを表現する力に感嘆しました。登場人物がみな人情味に溢れているところがいいですね。
これらの他にも、子供から大人までを感動させる名作が沢山収録されています。「ごんぎつね」「手袋を買いに」しか読んだ事がないという方にはぜひ一読お薦めしたいです。
代表作もいいが
★★★★☆
「ごん狐」や「手袋を買いに」など著者の代表作はもちろんだが、大人の読者には「花をうめる」をお勧めしたい。地べたにさかづきほどの穴を掘り、その中へ採ってきた花を入れて硝子の破片でふたをして上から砂をかむせて、後からその穴を見つけるという遊びの話である。
そこには明らかに死を連想させる光景が描写されているが、穴を見つけたときの穴の中の夢のように美しい別天地は生をより鮮やかに際立たせてもいる。最後に幻滅を味わうのも童話っぽくなくて大人向けである。
暖かい思い出がよみがえる本
★★★★★
「手袋を買いに」「ごん狐」、「おじいさんのランプ」などの名作童話が掲載さ
れています。
いずれも絵本になったり、教科書に掲載されたりしていますので、子供のころに読んでもらった絵本の絵、国語の教科書などを、思い出とともに思い出す方も多いと思います。
この3作の他にも、
「赤い蝋燭」、「最後の胡弓弾き」、「久助君の話」、「屁」、「うた時計」、
「ごんごろ鐘」、「牛をつないだ椿の木」、「百姓の足、坊さんの足」、
「和太郎さんと牛」、「花のき村と盗人たち」、「狐」
が掲載されています。
時代を超えた名作集です。