自分にとって初めてのラーメンズは映像ではなくこの台本でした。
それでも、奇想天外なシチュエーションと言葉の使い方に魅了されました。
実際に演じる機会もあったのですが、後日見た本家とは台詞の言い方一つにしても（当然ながら）違うものでした。
舞台の核となる台本は多様な解釈を許し、それだけでも十分力を持ちます。

ラーメンズがこの台本をどのように舞台に出現させたか味わうのもいいですが、読者自身が自分なりの演出に挑戦できるのも（特に短編の多い）戯曲集の大きな魅力です。

自分自身コントを書いたりしてるがこの台本はすごい。
舞台をやっているといかにアドリブ感を出すかとかいろいろ計算して書くがそこら辺がこの本からも観ることが出来ます。
格別小ネタが面白い訳ではないのだけどコントの設定の面白さやこの先どうなるのか、という興味を引き付けるのがうまい。個人的には「透明人間」とか好きです。
この戯曲、読んでも面白いってのが魅力ですね。

実を言うと私はまだラーメンズのコントを生では勿論テレビでも観たことがありません。けれど、この戯曲集を読んで何度も大笑いしてしまいました。毎度工夫を凝らして用意される斬新な舞台設定、絶妙に意表をつくナンセンスな科白（科白のない戯曲も中にはありますが）。全編を通して卓越した知性の働きを感じます。

小林氏はあとがきの中で台本と戯曲の違いについて語っていますが、読むだけで十分に楽しむことのできるものが「戯曲」であるとすると、正にこの本は完全な「戯曲」だと思います。いささか大袈裟ないい方になりますが、たとえ上演されているところを見ていなくても、本を読んでいれば「ハムレット」について語ることは許される、それと同じようなことだと思います。

でも、やっぱり生のラーメンズを観てみたい。そう思わせるだけの力がこの本にはあります。

　僕はラーメンズのビデオを沢山観ているので、個人的好みで五つ星を付けたくなるところなんですが。

　著者の言うように、このコント達は、あくまでラーメンズの二人のための仕様になっている。ので、やはり二人の姿を想像しながら読むのが正しい方法だと思われる。だから、「ラーメンズって、おもしろいらしい」と聞いてこの本を手に取った人で、実際のコントを観たことがない人には、それほどおもしろくないかもしれない。よって、目を背けながら☆ひとつ減。

　人間を観察し、人間について考察し、人間についてコントで実験＆主張する小林賢太郎の戯曲集。実際のコントを観るときよりも、「著者の狙いを読む」という目的をはっきりと意識して読むと、おもしろい。

戯曲集、とはいっても演劇のものとはちがい
ほぼ台詞だけが並んでいる感じです。
（広告批評の「ネタ再録」に近い感じ）
なので舞台なりビデオなりで見たことある人むけかも。

でもビデオでもう手に入らないhomeのコントを垣間見れるのはすごく嬉しい。
それに台本と舞台を比べると、
「ああ、あの名台詞はアドリブだったのか！」

「あれはアドリブっぽいのに計算だったんだ！」
と改めて小林氏の才能に驚愕。
ページのあちこちにはおしゃれなイラストで舞台の小道具（プーチン・マーチン人形等）の作り方も載ってて
ファンなら買って損はないです。

それにしても、このほぼ台詞だけのまっさらな台本を初めて読んで、
大爆笑すると言う片桐氏の豊かな感性に脱帽。

やはり一番の理解者な!んだなあ。