男が泣く映画
★★★★☆
チェンマイを舞台にした、ほぼ最初から最後まで主人公のディウとトンの2人によって進行するラブストーリーである。病魔による死が愛し合った2人を分かつというありがちなパターンであり、ストーリーもオリジナルを踏襲しているようだが、チェンマイののんびりとした風景と、田舎の農業研究員であるトンの素朴さが、いかにも「タイ映画」という雰囲気になっている。
バンコクのコンピュータ・プログラマー、ディウを演じたアラブ系のエーン・トーンプラソムがパッと見るとタイ人という印象を受けないことや、トンを演じるアタポーン・ティーマゴーンがいまひとつ冴えないことなど、最初は違和感があるものの、最後まで見ているとこの2人でなければ演じられなかったのだと納得できるキャスティング。お互いを常に想い合い、決して「オーストラリア」のニコール・キッドマンとヒュー・ジャックマンのように衝突はしない2人なのだが、そこがハッピーエンドになるか否かの違いなのだろう。
パッケージ写真は少し野暮ったい感じがするが、中身は王道のラブストーリーである。アジア映画好きの人にはお薦めの感動作。