戦時期・文化史の新たな発見
★★★★★
タイトルに魅かれて入手したが、予想をこえて内容の豊富な書物。全12章はどれも力の入ったボリュームある歴史的記述、写真・イメージも多くあきさせない。本書は、戦時期の1940年に行われるはずだったが戦争で消えた「幻の東京オリンピック」を主題として、その経緯や都市空間など文化史的インパクト、また同時代の集団体操・野球を含む体育スポーツなど、広くそのインパクトを文化史/社会学的に描き出し、「時代」を浮かび上がらせている。よくをいえば国民体育大会などもっと知りたい個所もあったが、全体として、「戦時期・文化史の新たな発見」の仕事であることはまちがいない。