宝塚とは何か
★★★★☆
男にとって観ようと思ってもなかなか敷居が高い劇場がある。宝塚劇場だ。宝塚の手塚治虫記念館にはもう四回も行ったのだが、その隣のこの劇場にはまだ一回も行ったことがない。しかしながら、歌舞伎と同じように宝塚が日本の大衆文化に貢献してきた実績は多大なものがある。いったいここでは何がなされているのだろう。普通の演劇とどう違うのだろう。いつか観に行くことを決意しながら、その事前準備として本書を紐解いた。脚本家、演出家でもあり、現理事長でもある植田氏は言う。「宝塚ミュージカルはスターミュージカルである。」「宝塚といえば大階段。どんなに芝居が悲劇でも、最後は出演者全員大階段を華やかに全員笑顔で降りてくる。」「我々はレビューの灯を守って行く。レビューは宝塚の華であると同時に隠し味である。」そして「清く正しく美しく」がんばる「生徒達」。これを読んで私は宝塚はあまりにも日本的な大衆演劇だと思った。ここには高尚な『ドラマ』はない。しかし大衆が最も必要としている「夢の世界」があるのだ。合っているかどうかは後は観るだけである。