上田正樹とサウス・トゥ・サウスを結成。1975年にはその上田とのデュオ名義で『ぼちぼちいこか』というアンプラグドな名作を残している有山じゅんじ。ソロになってからも、ラグタイムやブルースをベースにしたセンスフルなフィンガー・ピッキング・ギターとハートフルな歌声によるオリジナルな弾き語りスタイルでファンを魅了してきた彼の、実に6年ぶりとなる作品だ。9曲目のタイトルにもある、まさに“ありやまな夜”と言うべき、その独特のほのぼのとした歌世界で和ませてくれる。
日本にもこんなにゴキゲンなアコースティック・スウィング・ミュージックがあったのだ。お酒を飲みながら生演奏で楽しみたい種類の音楽。粋でありながら、人生の哀歓をたっぷり滲ませているところに惹き込まれる。(木村ユタカ)