好みが分かれる本
★★★★★
砕けた表現が多く、好みが分かれると思います。
内容はアーキテクトになりたい人が読む技術書ではなく、アーキテクトが暇つぶしに読む本といったところでしょうか。
外人さんが書いた本なのに、日本のIT業界にいそうな登場人物が出てきますし、参考文献も日本の書籍が多々見受けられ、
不思議な感じがします。
個人的には面白かったです。
基本的には面白い本
★★★★★
たぶん、読む人を選ぶ本かもしれません。
内容は、示唆に富む話が多いのですが、
ビジネス本やノウハウ本にあるようなストレートな解答もどきはありませんし、
本当の技術書のように網羅的にも書かれていません。
読む人が読んで、数人で冗談交じりでも内容を反芻すれば、
この本の面白さが解るかもしれませんね。
解らない、つまらないと投げ出す人は、
今一度、自分の読解力も一緒に投げ出しているかもしれません。
解らないときは、近くの達人に解らない内容を聞いて
教えてもらっても良いかも。
IT技術中堅者を自負する人は、一度、読むのをお勧めします。
ただ、語り口が独特なので趣味に合わない人もいるかもしれません。
PS.
著者のTom Engelbergさんについては、Amazonでネタばれしているで
現代のイザヤ・ベンダサンに成れなかったのは残念 (^0^;;
アーキテクチャに関心があるエンジニアにはオススメの一冊
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ソフトウェアアーキテクチャ、あるいは、アプリケーションアーキテクチャに関心がある人には、ぜひ、オススメしたい、アーキテクト向けの「読み物」です。
(いわゆる「技術書」とは思わないほうがよいと思います)
ソフトウェアアーキテクチャをテーマにした、架空のセミナーを本で再現したスタイルです。
アーキテクチャのさまざまな論点が、架空の登場人物たちとのやりとりをまじえながら、展開されます。
・コンピュータとアーキテクチャの歴史
・アーキテクチャの概要と、開発プロセスでの位置づけや意味
・非機能要件の整理とアーキテクチャへの反映
・ビジネスロジック(人間の仕事のやり方)の表現のアーキテクチャ
・アーキテクチャの形式的な分析手法と評価手法
などが、架空(荒唐無稽?)の登場人物たち、
・宇宙人( マ○○ン・ファ○ラー?)
・SE( SIer の典型的なエンジニア?)
・シニアマネージャ(大手SIerの典型的な管理職?)
・アジャイル教の教祖様 ( ○○さん?)
・IT雑誌の記者( ITバズワードのふりまき屋さん?)
・新人くん(業界のしきたりとかまだわかっていない、迷える子羊?)
と、講師(著者)の間で、かなり乱暴な会話がかわされます。
それぞれの登場人物を、おもしろおかしくデフォルメしてある。そのデフォルメぶりが、なかなか楽しめる。
そして、その会話の中で、セミナー講師のアーキテクト(?)が、いろいろ本音を独白する部分が、抜群に面白い。
建前論や形式論ではなく、現場の「できるアーキテクト」の思想や思いが伝わってきます。
この本は、アーキテクチャを勉強するための技術書ではありませんね。(技術的な内容は濃いし、エッセンスは、スライド形式で、うまくまとめられているので、もちろん、勉強に、なります)
この本は、勉強よりも、アーキテクチャに取り組む技術者が、日々の業務の中で、迷いが生じたり、壁にぶつかった時に、
・原点を大切にする
・基本フォームに戻る
そして何よりも
・ふっと、息抜きをして、頭をリフレッシュする
ために、とっても役に立つ本だと思います。
「訳者」の語り口もさることながら、カリフォルニアで隠遁しているという「著者」に、ぜひ、来日してもらって、実際の、セミナー会場で、この本の内容を実演してもらえたら、最高に面白いだろうと思います。