北朝鮮に関する経済資料が少ない、北朝鮮自身の発表の信憑度が低いという悪条件にもめげず、北朝鮮の経済についてその建国から現在まで、なぜ経済運営に失敗したかその経緯を論述し、その背景を考察している。
この書を読めば北朝鮮の経済史・経済政策の概略が一読にして理解出来ると言っても過言ではないだろう。
北朝鮮の凋落の原因は現状認識の不足であろう。
自国の置かれた状況、採るべき経済政策を科学的に分析・理解せず、支配者の思いこみや精神一辺倒主義で窮状を打破しようとすし、却って状況を悪化させる。特に国の根幹となる農業分野では惨憺たる状況である。既に抜け出せない隘路にはまった北朝鮮の打開策は新政権による旧政権の否定にしか見いだせないのであろうか。