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安楽病棟 (新潮文庫)

価格: ¥882
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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生と死の双方向から見つめる終末期医療 ★★★★★
終末期医療を扱った作品です

作者も医者であるためかなり深いところまで掘り下げていますが、わかりやすいように平易な文章で書かれています

日ごろこういう問題に触れることのない人も馴染みやすいのではないでしょうか?


内容ですが、痴呆病棟での看護の様子が細かくリアルに描かれています

普通はこの問題を扱うと介護側に焦点をあてるので現場のつらさなどが描かれるのですが、この作品は少し違います

痴呆患者さんたちを含めた、病棟で暮らす人全員のイキイキとした様子が描かれているのです

当然苦労は多いし、多くの患者さんは問題を抱えています

しかし、彼らは一人一人個性をもって確かに生きていることを読者に感じさせるのです

どんなに痴呆が進んでいても、「病人A」となってしまっている登場人物はいません

作者の人間の描き方の秀逸さを感じます


一応この作品はミステリーですが、推理小説として読もうとする方にはオススメできません

タイトルやあつかう内容から言って、どんな事件でどのような人間が犯人かは想像がつくと思います

事件の形にしているのは、安楽死の問題について読者に刺激を与えて真剣に考えてほしいからだと私は思います


終末期医療を生と死の両面から考えさせてくれる興味深い本です
老人医療現場のノンフィクション的な記述を用いた安楽死に対する提言。 ★★★★★
本作はミステリの形式になっているが、主題は老人医療と安楽死である。痴呆状態になった人は、人か屍か?大きな問いが示される。香月医師が行った行為は殺人であり、安楽死などではない。自分の医療行為に正当性を主張するのであれば、それは堂々と行われるべきであり、こそこそと他人の目を気にしながら行う必要はないはずだ。この時点で自分の行為が反社会的な物だと自覚していることになる。日本では積極的な安楽死は殺人なのだ。老人介護、痴呆老人医療、安楽死問題など本書で扱われた問題はこれからの日本にとって重大な事柄であるが、日本人の悪い癖として、厄介なことには目をつむり、他人任せ、先送りにする。我々は「40歳をこえれば初老であり、あとは坂を転げ落ちるようにおいていく、自分の老いを死を常に現実の物として考える必要があるのだ」という作者の言葉に耳を傾け、真剣に考える時期に来ていると思う。
認知症の高齢者へ接するときの素直な心構えを持たせてくれる秀作である ★★★★☆
作者はメンタルクリニック院長であり情景描写に定評のある山本賞作家。様々な症状の老人が暮らす痴呆病棟で起きた、相次ぐ患者の急死。この老人たちの入院までの生き様が私たちの共感を呼び、切なくなるほどに生き生きと描かれています。理想の介護を実践する新任看護婦の温かい視点が心に沁みます。彼女が尊敬し、恋慕する医師が実は安楽死をおこなっていたことに気が付き、自省を求める手紙を書くところで本文は終わっています。ミステリーの手法はやや古典的でありまた結末は尻切れトンボに思えますが、文中での彼のオランダでの安楽死に関する講演内容は本作が発表されて9年を経た現在でもほとんど周知されておらず、終末期医療に関する重要な知識が得られると思われます。超高齢化社会に入り、75歳以上の3割が認知症になるといわれています。認知症の高齢者へ接するときの素直な心構えを持たせてくれる秀作だと思います。医療関係者はもちろんのこと、認知症を有する高齢者にかかわるすべての人に是非一読を薦めます。
非常に重たい問題 ★★★★★
高齢化社会を迎えた日本。平均寿命は男性で79歳、女性では85歳を超える超長寿の国です。これは平均寿命なので幼年期や青年期に死亡した人達をカウントしたものですから、実際にはもっともっと長生きしているということになります。かつては人生50年と言われたように人工的な手当を受けずに自然の状態での人間の寿命は50年程度で、残りの30年近くは人工的に生かされているというのが本当かもしれません。人生50年時代には長寿を祈り求めた人間ですが、人生80年時代になってもより長寿を祈るものなのでしょうか?
耳が遠くなり、目が見えなくなり、自力で歩くこともままならなくなっても長生きを望むのでしょうか?体中にチューブを取り付け、排便も手伝ってもらいながらそれでも生きたいと思うしょうか?これは非常に重要な問題だと思います。安楽死を施すことが殺人行為であるのなら、人間の尊厳を無視して無駄に長生きをさせる行為もある意味で罪な行為と言えないでしょうか?わたし自身がそのような立場になったときには安楽死を望むと思います。しかし私の子供たちが不幸にも植物人間状態になったときはきっと延命措置を施してもらうよう懇願するかもしれません。この問題は人によって大きく考え方の違う問題だと思います。しかし近い将来必ず我々がその当事者になる問題です。人間にとって生きるということはどういうことなのか?与えられた寿命を全うするとはどのようなことを言うのか?その答えは誰が知っているのでしょうか?非常に考えさせられる一冊でした。
だれがだれだか・・・ ★★☆☆☆
物語の最初のほうで登場人物紹介し、メインの物語の中では苗字だけで呼ばれているので読んでるうちに誰が誰だかわからなくなりました。
(読み返せばいいのかもしれませんが)
そういう意味ではじっくり読むべき作品なのかもしれません。
私は一気に読んでいく派なので正直この本は合いませんでした。

あと、終始ですます調が個人的に読みづらく、最後がしりきれとんぼ的に思えるところもマイナスでした。