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フルスウィング (小学館文庫)

価格: ¥480
カテゴリ: 文庫
ブランド: 小学館
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野球が持つさまざまな横顔を描いた作品 ★★★☆☆
 さまざまな角度から野球にスポットを当てた6つの短編集。サクセスストーリーあり、ミステリーあり、恋愛ありと、バラエティーに富んでいるので「野球は分からない」という人も楽しめる内容となっている。ただ、「投げる・打つ・走る・守る」といった手に汗握る臨場感を楽しみたいという方には物足りないかもしれない。

 「ビリケン打撃投手」は、いままで才能に任せて努力を怠ってきた投手が、戦力外通告を受け打撃投手となってから努力することを覚え、一投手として認められるまでを描いたサクセスストーリー。
 「ビンボール」は、交換殺人を企てる助っ人外国人がアリバイ工作のために乱闘を演出する。果たして交換殺人は成功するのか!?
 「56号」は、優勝争いが混沌となってきた残り2試合で、シーズン本塁打記録を塗り替えようとする助っ人外国人に脅迫文が届けられる。敬遠か? それとも勝負か? 意外な結末が!?
 「リリーズ・チョイス」は、メジャーで大活躍する日本人選手タイショウ。日本球界時代にタイショウを冷遇していきた富井。キャンプを取材する富井…待ち受けるタイショウ…どうなるのか!?
 「ぐでんぐでん」は、女子アナをめぐって競い合うふたりの大学生ピッチャー。脱三振数の多かった方が彼女との交渉権を得る。ふたりの勝負は決着するが、恋の勝負の行方は!?
 「さよならのチャンス」は、戦力外となった投手が故郷に舞い戻る。待っていたのは、母の他に、恩師からの手紙と、初恋の相手。そして、中学時代の淡い恋が蘇る。
スポーツとはいったい!? ★★★★☆
 この本に入っている話はすべて野球に関することで書かれています。自分は野球にとても興味を持っているので好きですが、興味のない人にとっては、どうでしょうか?文章には特に難しい表現などは見られず子供から大人まで幅広く楽しめる作品ではないでしょうか。
 内容については、野球というスポーツを通すことによって、スポーツが、なんとさわやかで感動的なものか、なんと皮肉なものか、なんと切ないものなのか、ということを感じさせてくれる作品です。
野球小説? ★★★☆☆
 純粋な野球小説と思って読み始めました。最初の「ビリケン打撃投手」は最高でした。野球大好きの自分にとってはこんな作品が読みたかった、というほどの感動でした。そんな思いで2作目以降を読んでいくと、「ん?」という感じです。作品としてはおもしろいのですが「これって野球小説?」とちょっとがっかりでした。もっと直球勝負の野球小説が読みたかったと思います。
ノンフィクションではおもしろい作品がたくさんありますがフィクションの野球小説って少ないと思いませんか?
この作者ならきっと書けるのではないかという希望をこめて星3つにさせていただきました。
 ただあきらかにあの某監督をベースとした「リリーズ・チョイス」を読んで実在の某監督への印象がちょっと変わった(いいほうに)のには、そんな見方があったかと関心させられました。小説としてはとってもおもしろいですよ。
フルカウントから三振! ★★★★★
6本の野球短編を収録した『フルスウィング』です。たまに全収録作について一つずつどんな性格か野球になぞらえて検証してみます。

『ビリケン打撃投手』スポーツの素晴らしさをストレートに描いた読後感の爽快な作品。ストライク。
『ビーンボール』なんやねんこれ文字通りビーンボールじゃこの作者とこの短編集は一筋縄ではいきませんぞ。ボール。
『56号』大リーグボール3号じゃないけど、打てない(打ってはいけない)魔球です。皮肉な変化球でボール。
『リリーズ・チョイス』ここまできわどいコースを攻めていいんですかっ?って内角をえぐる変化球でボール球。ちなみに主人公の名前は、近い将来プロで活躍しそうな高校野球界の某投手と偶然そっくりで、びっくりしました。
『ぐでんぐでん』ストレートな恋愛、、、と思ったら最後でオチてました。フォークボールでしたね。空振りでストライク、カウントここまで2ストライク3ボール。
『さよならのチャンス』この作者の描く恋愛は、割と単純なストレートものが多いような気が……スポーツ選手には小難しい理屈よりもそういう直球勝負の方がいいのでしょうが。途中でオチが見えちゃっていた真っ正直な渾身のど真ん中ストレート勝負。それでも物悲しくも美しい描写は心に響くストライクでした。

結局私はフルスウィングできぬまま見逃し三振でしたが、この三振から何かを心に期して、次の機会でフルスウィングをしろよ、とこの本は教えてくれるのでした。

期待をさらに上回る面白さ ★★★★★
大好きな「俺はどしゃぶり」の作家が出した新刊です。
野球をテーマにした短編6つからなる本ですが、その料理法は実に多彩。
ミステリーあり、恋愛あり、諷刺(になるのかな?)あり。
私が一番気に入ったのは最初の「ビリケン打撃投手」ですね。

流した汗の量だけではどうしようもない斯界の厳しさと、
青さの取れた主人公の、揺らめき続ける静かな情熱の行方。
しがないサラリーマンの私に、これはガツンときました。
オトナの青春小説だなあと思いました。

これ以外にも、完璧な殺人計画の顛末を描いた「ビーンボール」や
球界のタブーに果敢に挑んだ(?)「56号」(オチにニヤニヤ)、
爽やかでそして哀しい恋愛小説「さよならのチャンス」
と、同じ作者とは思えない広角打法で野球好きの私の心をくすぐります。
また、野球に興味がない人にも何かを訴える力のある、
そんな優れた短編集ではないでしょうか。

最後に。この本を紹介した書評に腹が立ったので一言。
いつも読んでる「週刊ベースボール」に載っていた、石富仁さんという
ライターの文章がひどすぎます。一見誉めているようなんですが、
本当にちゃんと読んだのかさえ怪しく思えるような内容です。

こんな下品で低俗な書かれ方をされては著者が迷惑だし気の毒です。
あんな文が名の通った歴史ある野球誌に掲載される事自体大変不愉快です。
編集部の方々の猛省を望みます。