1972年春のイングランドでの7公演から選曲された本作は、『Europe '72』よりも断然「ライヴ」感にあふれている。というのも、『Europe '72』は一種のスタジオアルバムとして企画されたために、新曲が数多く紹介され、デッドの荒くれた鋭さがスマートに仕上げられていたからだ。
本作でとりわけ興味深いのは、(ジェリー・ガルシアの歌う)「Sitting on Top of the World」の幽玄なさざ波のようなリーディング、あまり知られていないピッグ・ペンのオリジナル曲2曲(「Chinatown Shuffle」「The Stranger」)、古びたヴァージョンの「Hey Bo Diddley」(途中に「Not Fade Away」をはさむ)、ファンの多くが初めて耳にする「Rockin' Pneumonia」だ。また、ディスク4ではウェンブリー・エンパイア・プール公演での「Dark Star」「Sugar Magnolia」「Caution」の延々と続くすてきなメドレーも聴ける。
本作はリスナーの家の棚にある『Europe '72』に取って代わるほどではないが、デッドのこの時代のファンにとっては貴重なコレクションと言える。(Greilsamer, Amazon.com)