インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

祭りの場・ギヤマン ビードロ (講談社文芸文庫)

価格: ¥1,260
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
Amazon.co.jpで確認
「広場で、高等学校の学徒が円陣をつくって踊っていた。仲間が出陣するのだ。…コンクリートの殺伐な工場広場は彼らの祭りの場となっていた。」 ★★★★★
被爆の痛みを知らず、また、忘れ、日々を安らかに生きる私たちにとって、
林京子の徹底した“傷を負った者”側からの描写はあまりにも痛くて重い。
まるで「被爆について、誰もがあまりにも無知に日々を過ごしすぎる」と言ってるように感じられる。
または「被爆者が精神的にも肉体的にも深く負った傷を、自分のものとして受け入れることが、現代に生きるすべての人間に課された宿命である」とでも言うように。

『「どこの女学生さんじゃろか。可哀そうか。」…
洋子は死んでいた…膝を抱いたまま、死んでいた。
女の一人が「かわいそうに、ハエのたかって」と横顔に群がるハエを、手で払った。…
太陽に向って飛んで行くハエを見おくりながら、洋子は死んでしまった、と若子は思い、
「だけど、あたしには関係ない」とつぶやいて、山を降りていった。』(「祭りの場」の連作のなかの「二人の墓標」より)

いま、中高生に課題図書として、この作品を薦めるべきだろうか?
“作り物”の痛みの描写と、安っぽい共感しか得られないライトノベルしか読んだことがなく、
恋愛とか「自分が興味のある身近な痛み」だけを軽く受け入れて、
原子爆弾による想像を超えた痛みについては、自分の日常に直接的に関係ないというだけで無関心を装うというような
隙間だらけの感受性ですべてを語ろうとする勘違いした中高生やその親にいきなりこの本を読ませることに、異論もあるかもしれない。
でも、この本の物語は、60数年前に実在した女子中学生の、率直な心から生まれたことを忘れないでほしい。

血が流れ、肉をえぐるありのままの描写を、何も知らない子どもの眼前に突きつけることは、非難されるべきではない。
私たちは、現実を隠し、目をそらさせて、綺麗ごとのみで覆い包む行為こそ責めるべきだ。
長崎市の若者や出身者に読んで頂きたいです ★★★★★
個人的な話で恐縮ですが、長崎出身の私の生活圏の一部に、料亭の富貴楼、旧制高等女学校を引き継いだ高校の校舎、金毘羅山がありました。無邪気に遊んでいた頃に本書で書かれている会話の遣り取りがあったということもあり、とても生々しい思いで読みました。私は30歳代ですが、数年前にこの本を何の気なしに手に取るまで、林さんのことを知らなかったことを非常に残念に思いました。しかも旧制学校を引き継いだ高校の出身なので、林さんはある意味において大先輩にあたるのです。肝心の本の内容を書かずに申し訳ないですが、長崎市のかた、特に若者、長崎東高、長崎西高出身のかた に読んで欲しいです。読み方として間違っているかもしれませんが、私は本書内の大先輩たちの言葉に未だに勇気づけられています。
政治的な思想、戦争に対する考えも人によって色々とあるのでしょうが、それを抜きにして本書に手をとって欲しいですし、本書はそれとは無縁なところにあるようにも思います。 「空罐」、上海のことが書かれている「黄砂」が特におすすめです。
本に注文するとすれば、長崎市以外のかたにも分かりやすいよう、地図が掲載されていると、より理解しやすくなるのではないでしょうか。