巡り会えてよかった作品。
★★★★☆
このシリーズが単に「革命シリーズ(1)」から8冊続くシリーズではない理由がわかる気がする。
大上段に全部をつなげる壮大なロマンも、
何代にも渡って語られる歴史物も素敵だと思うが、
このシリーズの、ひとつひとつをまるでまったく別の物語に仕上げながらも、
読み終わって最後のページを閉じると、シリーズ全体が向かう先と
登場人物たちの立ち位置が少しずつ明らかになる、その仕掛けがたまらない!
決してでしゃばりもせず、ページにしたら2ページくらいしか出てこない。
でもなぜか連作の主要人物は抜群の存在感。
サーシャが、リョウジが、そこで確かに生きている。
五條瑛氏はその経歴(防衛庁にかつて勤務)から、
その正体をほとんど語らないと聞くが、
もしかしたら日本人ではないのでは?と思わせるような、
ぎりぎりとした日本への焦燥感、退廃への憎しみにも似た怒りが伝わる。
まだ3作目だがかなり大きい展開もあり、
今後がどう膨らむのかがたいへん興味深い。
叙情詩のように強く気高い本作と、哀れな純愛が、どうこの後に影響するのか。
渇望しながら、次を待つ。