インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

カラー版 四国八十八カ所―わたしの遍路旅 (岩波新書)

価格: ¥1,050
カテゴリ: 新書
ブランド: 岩波書店
Amazon.co.jpで確認
戦場カメラマンへのレクイエム ★★★★☆
数多くの戦場カメラマンが東南アジアで命を落とした中、偶然に生き残った氏は、体験を語り継ぐ、という使命を負ったのだろう。
氏の遍路日記に、今は亡きカメラマンたちの回想が織り交ぜられながら、文は展開してゆく。
回想は二時大戦後の東南アジア情勢の歴史証言でもある。

四国遍路の体験と、亡くなった戦場カメラマンへの想い。そして最後には氏自身も重病と向き合いながら遍路を続ける。
他の遍路本にはないこの組み合わせは、美しい写真と併せて様々なテーマを読む人に語りかけてくる。
ベトナム戦争をくぐり抜け生き抜いてきた、日本を代表する従軍戦場カメラマン ★★★★★
最近で有名な戦場カメラマンというと、右寄り思想で面白い文章を書く、宮嶋茂樹氏が有名でしょう。本書の筆者である石川文洋氏も、ベトナム戦争などをくぐり抜け生き抜いてきた、日本を代表する従軍戦場カメラマンです。本書は、ベトナムやカンボジアで亡くなった日本人ジャーナリストたちや、先に亡くなった家族を供養するための四国八十八カ所巡りを、きれいな写真とていねいな文章で日記しています。ベトナム戦争、それに続くカンボジア紛争では、本当に多くの日本人ジャーナリストが現地で亡くなっています。映画化され有名なカメラマンの一ノ瀬泰造さんも、石川さんとは懇意でした。本書では、沖縄出身らしい石川さんの朴訥としたやさしい人柄が写真と文によく表れています。巡礼中の四国の人たちとのふれあいも、とても暖かいものに感じました。後半、石川さんが心筋梗塞になって心臓が止まってしまい、どうなるかと心配しましたが、奥様同伴で無事八十八カ所結願となりました。石川文洋さんをもっと知りたい方は、「戦場カメラマン」をぜひ読んでみてください。悲惨なベトナム戦争のなりゆきと戦争の正体が、若い時の石川さんの写真と文章でストレートに表現されています。

石川さんにはどうかご健康で長生きしていただき、これからも私たちに石川さんのすばらしい写真と、人生の挑戦を見させていただきたいと願います。石川さん、ありがとうございました。
自分のペースで回ればいい ★★★☆☆
数多いお遍路旅の本の中で異色なのは、やはりベトナム・カンボジアで亡くなられたカメラマン、ジャーナリストの方々の紹介記事が載っていることだろう。惜しむらくはこれらの人たちのプロフィール・フォトがなくて文章だけなので感情移入しにくい。

ちょっとびっくりしたのは、3年間で17周も遍路旅をしている人や5年間で29周した人を紹介している。著者はこれらの人々を「遍路自由人」と呼んでるが、托鉢、野宿していて、そんなのんきな気分で回っているとは思えないのだが。

お遍路旅の途中で著者は急性心筋梗塞で死生を彷徨ったのだが、同じ病気をした者として退院後わずか半年で再び回る必要があったのかという疑問を持たざるをえない。

写真はさすがに美しい。
ゆっくり読みたい ★★★★☆
インドシナ紛争で落命した日本人ジャーナリストたちを鎮魂する遍路行のエッセイ。落命したジャーナリストの15人の大半と面識があったということに、いかにベトナム戦争が死との隣り合わせだったかを感じさせる。ゆったりとした景色が続く四国の旅情に、モノローグのように死者の記録が差し込まれる。

本筋自体も楽しめる。お遍路さんや遍路道に生きる人たちの温かい姿が写真、原稿からじわりと伝わる。写真も文章も素朴ながらにベテランの味を感じさせる。カフェでコーヒーでも飲みながら、2,3時間かけてゆっくり読めれば、と感じた。
鎮魂と読者を元気づける書 ★★★★★
 この本は「戦争と命を考える旅」を文と写真で著わしたものだと著者はいう。
 前著の『日本縦断 徒歩の旅』がモノクロ写真での本であったため、やや残念に思っていたけれども、今度の本で飢えが満たされた思い。新書版ながら、見開きでの写真は迫力がある。
 それはそれとして、ベトナム、カンボジアで斃れたジャーナリスト15名への追悼のコラムが旅を綴る暖かい本文と呼応して印象的だ。2名の年長者を除いて1930年代生まれが7名、40年代の人が5名。その人々が1970年前後に戦場で亡くなっているのだから若くしての死である。著者は1938年生まれだから、まさに同時代者。41頁にひしゃげた車両が写っているモノクロ写真がある。著者が降りてから5分後に地雷で爆破されたジープだという。1965年5月19日の出来事。当時、著者は27歳。まさに「間一髪」だった。そうした日々に同じような仕事をして先に逝かれた人々と、戦禍に生涯を閉じた多くの方々を偲び、その霊を弔うための旅をお遍路として務めたのである。
 それで、この本が特に若い人々に読まれることを期待する。
 著者は、お遍路を始めてののち、心筋梗塞の緊急治療中に心臓が停止、5度の電気ショックで蘇生したという。退院後にウォークリハビリをしてお遍路続行できる体を取り戻し、ついに結願し、お礼参りもしてさらには高野山に登って四国で修業した空海を詣でるという元気さ、几帳面さ。本人は鈍感なのだというけれども、どうしてどうして。愚生は75歳。いろいろ病などがあってふさぎがちである。著者に励まされてこれからを過ごしたいと思う。
 本書は、鎮魂とたまぶるいの書である。