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鈴木敏文の「統計心理学」―「仮説」と「検証」で顧客のこころを掴む (日経ビジネス人文庫 (か3-2))

価格: ¥700
カテゴリ: 文庫
ブランド: 日本経済新聞社
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   セブン-イレブンを勝利に導いた総帥、鈴木敏文の発想法と思考力に注目し、「55の金言」とともに紹介した1冊。

   著者によると、鈴木敏文の発想の根本には、「時間軸で変化の流れを大きく捉える視点」「時間軸を輪切りにし断面を見る視点」「時間軸で未来から見て今を位置づける視点」「脱経験的思考」「陰陽両面的志向」の5つの視点があるという。ここで述べられている「時間軸」の概念は、一流の経営者がよく口にするものであり、この「時間軸」を考慮に入れるのと入れないのとでは、物事のとらえ方が大きく異なってくるようだ。

   また興味深いのは、鈴木敏文が「メタ認知」に優れているという指摘。これは、著者の言葉を借りれば、「自分の頭のなかに『もう一人の自分』がいて、今の自分の思考を、もう一段上から客観的に見て判断する」能力のことであり、勉強法で有名な和田秀樹も指摘している優れたビジネスパーソンの資質である。

   このように本書では、優れたビジネスパーソンに必要なさまざまな資質・視点を紹介しているが、もっとも注目したいのは、鈴木敏文が日頃、いかにして情報をとらえ、その裏に隠された真実を見抜いているか、という点である。情報の先にある「顧客の心」にまで迫っているあたりは、さすが小売業界の重鎮。小売業に携わる読者に限らず、得るところの多い1冊である。(土井英司)