たとえば「ハム」という作品がある。アマチュア無線に熱中している少年の姿が3コマ続いた後、無線機に見えたのは実はそば屋のチケット売場の店内マイクだった、という無理なオチがつくのだが、「ハムをやってる」と読者に思わせるための仕掛けのポスターが実に良いのだ。オールバックにサングラス、くわえタバコの館ひろし風顔面アップに「ハムのプロ」というロゴ。脇役が主役を食って、作品を救ったという感じだ。
ほかに「ささみ200㎏」「猫年がない」「古本のみ」などが収録されているがヒット率は低い。だがその分、ちょっとした宝探し気分が味わえるはずだ。(中山来太郎)