日本アカデミー賞にあらためてガッカリ…
★☆☆☆☆
アカデミー賞が映画振興へ寄与するという方向は分かるが、業界人たちの馴れ合いが気になっていた。
本作がアカデミー監督賞をとったことは本当にガッカリ。
木村大作氏が撮影監督として優れているのは分かるが、本作は映画としては駄作である。
映像は美しい。
黒沢明監督の影響による「リアル」追求による厳しい撮影状況も凄いと思うが…
スタッフたちの自己満足映画としか思えない。
監督賞は木村監督への人望(馴れ合い)としか思えない。
日本アカデミー賞は作品の品質そのものでなく、業界人のパーティなのだろう。
監督賞に値しない点は演出の下手さにある。
まとめ撮りしたことがすぐに分かってしまうような「陸軍本部」でのシーンや
展開のメリハリのなさなど演出上の稚拙さは数多くある。
何度もいうが、映像は飛び抜けて綺麗だ。
残念ながら…ただそれだけの映画だった。
日本人の仕事魂を映し出す道標
★★★★★
剣岳の測量を行った地図屋さん達のものがたり。明治時代には大変だったのだろうとおもいつつ、現代に登攀を繰り返して映画にするのも、実は命がけの仕事。
映画そのものは淡々と進められる、軍部、地図屋さん、ガイドさん、奥さんたちの物語。美しい日本の四季とともに、その美しさと厳しさを堪能できる。
まさに剣岳。
Webで公開されているメイキングが実は面白い。俳優さん、撮影陣が、現代装備とはいえ、やはり人力で険峰を登るしかない。それって足をふみはずしたりしたら、本当の事故につながる命がけの仕事。
ものすごい緊張感のなかでチームワークでアートを創り出す。しかも自然の気まぐれと微笑みを読みながら。
普段の私たちの仕事も、通常は淡々とすすめられるもの。それでも一歩まちがえたりすれば、大きな影響があるもの。
だからこそプロの技、仕事師としての仕事を達成し続ける必要がある。
映画で楽しみ、撮影陣に思いを馳せ、先人の汗と涙に感謝しつつ、我が仕事を見直して誇りをもってあたろうと決意する。
深く考えると、沢山のことをおもわせてくれる映像作品。
そんなことを考えたりせずに、とても綺麗な日本の大自然と、自然やライバル、同僚たちとの協業を楽しむ、というところに行きつく映画かもしれません。
平成につくられた、日本の誇る、日本の美しさを堪能する大作だと思います。