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悪魔のいる天国 (新潮文庫)

価格: ¥515
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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1999年8月15日 第61刷発行
哲学的ショートショート ★★★★★
 小学生のときに大好きだった星新一のショートショート。当時はただただその読みやすさと面白さに夢中になっていただけで、個々の作品の持つ意味など考えたこともなかったが、大人になってふと「あの作品はこういう意味だったのか」とその深さに改めて感心させられることがある。
 例えば本書に収められている「もたらされた文明」は、地球から「鍵」を持ち帰ってきた宇宙人の話である。「それは何だ」「鍵というものだ」「何のために使うんだ」「自分の家に他人が出入りできないようにするためだ」というやりとりが続く。「どうしてそんなことをするんだ」という質問に対し「自分の家の品物を勝手に持って行かれないようにするためだ」と帰還した宇宙人は説明する。「どうして勝手に持って行くんだ」「その方が自分であくせく働いて品物を買うよりもはるかに簡単だからだそうだ」
 聴衆は一瞬静かになってその意味を考えた後、にわかにざわめき始める。「なるほどなあ、そういうやり方があったのか」「どうしてそんな簡単なことに気づかなかったのだろう」ざわめきは収まらない。窃盗(≒悪)という未知の文化が地球からもたらされたのである。
 難点はいくらでも指摘できようが、根源的な問いを提示する星新一のショートショートは、大人のための哲学童話として充分鑑賞に耐えるものだと思う。筒井康隆や阿刀田高とは一味違った、美しい残酷さを湛えた作品群を堪能されたい。
人の魂の中に「天国」と「悪魔」あり。 ★★★★★
 私は、本書を読んで

 我々の心の中にこそ「悪魔」と「天国」があるのだと感じました。

 そして、星新一先生の発想力の素晴らしさに改めて感心いたしました。

 そんな私のお気に入りは

 「合理主義者」     物語の定番「ランプの魔神」を巧みに皮肉った一編

 「情熱」        大義とエゴイズムは紙一重だと感じました。

 「ピーターパンの島」  ほのぼのとした雰囲気の中に、魂を震わすほどの恐怖あり!!! 

 「愛の通信」      インターネット時代の問題点を見事に描いた、先見性のある一編

 「夢の都市」      長所=短所であることが見事に表現されております。
          

 「契約者」       悪魔を題材にしたコメディの傑作。

 「薄暗い星で」     静かなる会話劇の中に、人間の真実が宿っております。
老若男女を問わず大いに楽しむことができると思います ★★★★★
目次
 合理主義者
 調査
 デラックスな金庫
 天国
 無重力犯罪
 ロケットとキツネ
 誘拐
 情熱
 お地蔵さまのくれたクマ
 黄金のオウム
 シンデレラ
 こん
 ピーターパンの島
 夢の未来へ
 肩の上の秘書
 殺人者さま
 ゆきとどいた生活
 夢の都市
 愛の通信
 脱出口
 もたらされた文明
 エル氏の最期
 サーカスの旅
 かわいいポーリー
 契約者
 となりの家庭
 もとで
 追い越し
 診断
 告白
 交差点
 薄暗い星で
 帰路
 殉職
 相続
 帰郷

 著者よりひとこと 星新一
 解説 青木雨彦
 カット 真鍋博

本書は1961年12月に中央公論社から刊行され、1967年に早川書房から改装版が出版された、「人造美人」「ようこそ地球さん」につぐ三冊目の短編集です。新潮文庫版「ボッコちゃん」は著者の初期の作品から50編を自選した短編集で、それをまとめる際に、新潮社以外の出版社の本である「悪魔のいる天国」からも選別したため、本書に含まれる「デラックスな金庫」「誘拐」「肩の上の秘書」「ゆきとどいた生活」「追い越し」「診断」の6作品は「ボッコちゃん」にも収録されています。

1000編を越すSF短編小説を残し、ショートショートの神様と呼ばれた星新一さんの作品36編を収録。

短編なので読みやすく、それでいてしっかりオチがついていて、時には自分の考えの及ばないような意外性のある結末に感心し、自分とは違った新鮮な考えに触れ、ものの見方や考え方が広がったような気がします。また、星さんの作品は後世多くの人々に読んでもらえるようにと、具体的な地名や人名といった固有名詞をなるべく登場させないことで、通俗性を出来る限りなくし、読みやすく分かりやすい文章で書かれてます。そのため老若男女を問わず大いに楽しむことができると思います。
初めてのSF ★★★★★
 初めて買った星新一で、初めてのSFで、初めてのショート・ショート。私にとって、初めて尽くしの一冊です。この一冊のおかげで、小説のジャンルが広がりました。まず、星新一を買い漁るようになり、星さんの紹介している海外のSF作家に興味が湧き始め、ショート・ショートというジャンルを気に掛けるようになりました。"悪魔のいる天国"、この皮肉でこじゃれたタイトルに異様に惹かれ、手に取った中学生の自分よ、本当にありがとう、ってな感じです。

 酒場の主人が造った人造人間。趣味で造っただけあって、手間と金をかけて作り上げたそのロボットは、スタイルも良く、つんとした素晴らしい美人。酒場のカウンターに置いたそのロボット(お客には人間と思わせてます)は、人気も上々。けれど、このロボットに恋をし、思いつめた青年が・・。

 本のタイトルどおり、微かな皮肉を含んだ結末が用意された短編集。やみつきになると思います。

大変面白く読ませて頂きました ★★★★★
 初めに目次を斜め読みして違和感を感じ、改めてじっくり読むと、『悪魔がいる天国』という話がなかった。てっきり表題作があると思っていた。

『ボッコちゃん』は著者による自選ショートショート集であるので、本書と重複している作品もある。それを差し引いても面白い。個人的には『宇宙のキツネ』、『天国』がいかにも星新一らしいように思えて好きだ。『天国』は表題作ではないもののこの本のタイトルの由来になった一篇だと思う。しかし悪魔はいない。