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蛍川・泥の河 (新潮文庫)

価格: ¥420
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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泥の河 昭和30年頃の庶民の心情を描いた秀作 ★★★★★
大阪の堂島川と土佐堀川が合流する安治川が舞台である。時代は敗戦の影響がまだ残る昭和30年頃。国道では、まだ馬が荷車を引いている。安治川の岸にある小さなうどん屋の8歳の息子と、泥の河=安治川に浮かぶ郭(くるわ)舟で暮らす8歳と10歳の姉弟との交流を描いた作品。貧しいが他人を思いやる心を持った庶民の生活が目に浮かぶ。その後の
日本は年率10%の高度成長を遂げ、世界第二の経済大国になったが、失ったものも多い。過去に戻れない我々は何を目標に生きるべきか。
芸術的な作品 ★★★★★
どちらも、短いページの中に必要な場面と描写だけが載っている。
それは如何に推敲して無駄を省いたかが判るような筆跡で、
とてもサッとは読めない作品でもある。

そのせいもあって、最近の手軽なミステリー本を読み慣れた人には、
読みづらいと思うし、つまらないと思う。

そうは言っても、晦渋で難解なわけではない。

無駄な装飾が一切省かれ、まるでスルメのように、
読めば読むほど味わいが増すような、
今ではなかなかお目にかかれない、古き良き文学の味を残したものだからだ。

これを読めば、さすが芥川賞、或いは太宰賞と思えるはずだろう。
そして如何に最近のそれらが質を落とし、形骸化しているかが判る作品でもある。
切ないなあ ★★★★★
宮本輝先生の初期作は「錦繍」あたりまで追いかけていたのですが、
いまは、渡辺淳一先生と区別がつかなくなってしまいました。
2つの川 ★★★★★
私にとっては2つとも、忘れがたい作品でした。
地味でノスタルジック、そし美しく、完成度の高い作品だと思います。
主人公の少年の複雑で多感な時期から青年になる節目に生まれた
友情、初恋。
残酷で悲しい現実。
細かな描写でまるで映画を見ているかのようにその時、その時の情景が
浮かんでくるのです。
昔日の田園風景 ★★★★★
この作者の描き出す昔日の田園風景(川辺風景とでも言おうか)の世界は、幼少期特有の暗さを美しく表現している。精緻ですうっと読めてしまう文体も、美しい日本の描写に適している。会話中の方言は頭の中で心地よいリフレインを奏で、物語の中へと一層引き込んでくる。"お化け鯉"や"蛍の大群"のような土着の思い出が私にもあったものか、と思わず回顧してしまいました。