対象不明
★★★★★
誰を対象にしているのか理解できないが、内容は濃い本である。小説かSFかと思って買うのは間違いであり、専門書とみなすべきだろう。高校生がターゲットのようであるが、いまどき地学に興味をもっている高校生はあまりいない。著者も述べているように、物理や化学好きにこそ呼んでもらいたい本である。でも、このタイトルではそれも期待できないだろう。
ガイヤモンドに乗って地底旅行というありえない設定ではあるが、専門書に比べてとっつきやすい。ところどころに著者独自の感性がみられ、それはそれで面白い。特に地底が明るい世界であることや、宝の山であるとする著者の思いは興味深い。
残念なのは、図が中途半端なことである。どこかの本でみたような図と、オリジナルの写真や図の混在が見苦しい。表紙と口絵がきれいなだけに惜しいところである。また、少し内輪話のように感じる点も多々ある。
それをひいても、内容としては高度で真面目な本である。著者の新しい試みは高い評価に値する。でも、やっぱり気になるのは、誰が買ってまで読むのだろうかということである。