重箱の隅に神は宿る?
★★★☆☆
この本の初版を購入し、読み始めていきなり、女優・若尾文子が自ら代表作と認めている「妻は告白する」のパートで信じられない間違い(内容は敢えてここには記さない)に「遭遇」し思わず叫んでしまった。嗚呼!もったいない!と。読了し、せっかくここまで積み上げた内容ある本なのに、おそらく出版後にその間違いに気づいたであろう関係各位の衝撃を思うとこちらまで身震いをした。ところがこの第2刷、さすがにその箇所は訂正してあるが、フィルモグラフィーの「男はつらいよ 純情篇」の解説で、若尾文子の役柄の間違いはそのままになっているし、註にも些細だが情報としてあてにすると影響が大きい間違いがそのまま。衝撃はなかったのかな?あとがきで「通常の写真集やファン言説というものから最も遠い位置にある研究論文」と自認するならば、斉藤氏の回りくどい文体は内容が興味深いからなんとか我慢するにしても、ちょっと調べれば判明する事実関係ぐらいは意地でも完璧にして欲しい。なぜなら、女優・若尾文子の魅力を私なりに一言で表現すれば、「プロ中のプロであり続けた女優」だと思うので、その人間を研究するならば、筆者達も若尾研究のプロに徹して細部まで目を光らせて欲しい。本に間違いは付きものと言われればそれ迄だが、これは第2刷だし、買って損はない内容の本だけに、この若干の興醒め感はつらい。
唯一の若尾文子本
★★★★★
四方田犬彦と斉藤綾子の中篇論文が各1本、若尾文子インタヴュー、完全なフィルモグラフィという構成。
図版は少ないが、ぜいたくは言うまい。若尾ファンならびに増村保造ファンのマスト・アイテムである。
今後、「涙」、「夫は見た」、「八月生まれの女」、「悶え」、「妻二人」等の作品が続々とDVD化されることを願う。
それにしても、この本が出るまで、何故フィルム・アート社やワイズ出版は若尾本を出さなかったのだろう?
若尾文子
★★★★☆
日本映画が好きで、いろいろな作品を見ていますが、最近、若尾文子さんの作品をいくつか見るうち彼女の魅力にひきこまれ、この本を買いました。ブラウン管の彼女を文字にすると、また違った魅力があふれています。
改訂版を期待したい!
★★★☆☆
既に『映画監督 増村保造の世界―「映像のマエストロ」映画との格闘の記録1947‐1986』等で語られているものと重複する部分が多く、若尾文子本人へのインタビューも新たな発言を引き出せずに終わっている。既に鬼籍に入ったキャスト、スタッフも多いが、周辺からのアプローチがもう少しあってもよかったのでは・・・。新たな事実関係、発言を加えた改訂版を期待したい。