表題作は実質的に推理小説としては江戸川乱歩の最高傑作
★★★★★
自分は「三角館の恐怖」「幽鬼の塔」と並ぶ三大傑作に推す。とは言え、他の二作は海外物の翻訳版(前者が忠実、後者はアレンジの違いはあるが)ということで、実質推理小説としての江戸川乱歩の最高傑作。
江戸川乱歩は探偵小説であって推理小説ではないとか、犯人が直ぐ分かると言って馬鹿にする向きもありましょうが、ならばこれをお読みください。
途中で途切れる足跡の謎、意外な犯人、そしてあっと驚く動機。充分本格物と言えると思う。
惜しむらくは、乱歩という人は、動機を病気に求めるのが好きのなで、この作品でも「〜病」などと言っていること。病気にする必要なんて無いでしょう。
この作品の動機には、充分な説得力があるのですから。