そして後半の対談編。環境を考えるというと、「エコ・ファシズム」といわれるように、とかく現状否定ばかり強調されがちです。「昔に帰れっていったって、いまから農業しろっていうの?」という反発を感じるのではないでしょうか。現状を否定するのではなく、これまでの文明の成果を享受しつつ、環境を保全していける新しい道。登場する各人が自分なりの哲学を築きつつ模索しています。「人は物質的な豊かさを求めるけれど、それは精神的な豊かさを求める手段でしかない。精神的に豊かになると、なんでも美的にやろうとする。精神的な豊かさと物質的な豊かさを美しさの概念で統合できるんじゃないか」など、「おしつける」のではなく、喜んで変われるやり方を考える姿勢に共感します。自分の生活を考えていく上で参考になる意見がたくさんありました。読む人それぞれに、得るところがある本だと思います。
前半は筆者の実践する「不便」に関する新聞連載が収録されている。おこなった不便は例えば、 ・自転車で通勤する ・自販機で物を買わない ・外食をしない(弁当を作る) ・電気あんかを湯たんぽに切り替える ・季節外れの野菜を食べない ・畑で野菜を作る などなど。
中毒に対する禁断症状はいかほどか、その後始めた不便の数々、自転車通勤で初めて気付いた季節の移ろいなど、月一の連載の形でレポートする。 後半は、「消費社会」を超えて、と題した対談集。
野田知佑氏、山尾三省氏、歌野敬氏ら各地の実践者との対談から、社会学の学者諸氏とのポスト工業化社会に関する対談に及ぶ、読みごたえのあるものである。
大量生産・大量消費で我々の生活は豊かになったように思われるが、心は一向に満たされない。消費と同時に生産する。仕事と同時に遊ぶ。そんな生活こそがこれからの豊かな生活である、という主張にはナルホドと思う。
今、いちばんのオススメ本!