本書は、主に18世紀ごろから20世紀までの西洋世界(ほとんど西ヨーロッパ)における、支配的な男性イメージがどのように構築され、どう変容していったかを追う概論的な男性史研究の書。男性史研究そのものがまだどの国でも緒についたばかりなので、こうした基本的な文献が翻訳されることには大きな意義がある。また、本書はナショナリズムや戦争といった争点と男性イメージの関係性を念頭に置いて書かれているので、その意味でも意義深い。
訳はわかりやすい。また、西洋史に詳しくない人でも読みやすいように詳細な訳注があるので、ヨーロッパ以外の歴史に興味のある方にもおすすめできる一冊。