ヤスパース哲学の到達点にして出発点
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ヤスパースの第2主著『哲学』も最終部に突入しました。ある意味で前編『実存開明』でヤスパースの哲学の決算が終わり、本編で後期ヤスパース哲学への扉が開かれます。
さて『形而上学』でヤスパースは世界が超越者(キリスト教風に言えば「神」ということになるでしょうか)の暗号に満ちていることを説きます。人によっては「ヤスパースは神秘主義に走った」と感じる人も多いでしょう。この点本書の「あとがき」で弁明しているのであなたの目で確かめてください。ただいえることはヤスパースが人間の限界の前でこまねいていたのではなく探究を続けたということだと思います。この点ヤスパースが師と仰ぐカントやキルケゴールに通じる部分だと思います。
『哲学』を通してヤスパースの「哲学する」ことが見えてくるのではないでしょうか。