江戸の町
★★★☆☆
初出は1990-91年の『週間朝日』。「本所深川散歩」と「神田界隈」の2篇が収められている。
東京の下町をじっくり歩くという内容だが、もうひとつ面白くない。司馬は江戸を語るのがうまくないなと感じた。太平の時代の庶民を描くのは得意ではなかったのだろう。また、著者が良く知っている町であり、資料も豊富すぎるほど残っている点も問題だったように思う。資料にひきずられてしまって、実際に歩いている感覚が伝わってこないのが残念。
岩波書店や岡書院など、神田神保町の書店興亡史の話は面白かった。