牧歌的で郷愁を感じる「4. Patience」は、中国的なフレーズを幾層もの弦とシンセで表現した作品。「12. Tides of Time」と「13. Seed of Hope」は、三部作全体を閉じるにふさわしい雄大な曲。また、静かに心に染み渡る「3. Jade Moon」「11. Pinwheel」や、S.E.N.Sらしいメロディラインが美しい「5. Prophecy」「7. Edge of the Storm」もお勧めです。
「故宮」の三部作を聴いて思うのは、心に伝わってくるのは確かに大陸を表現した雄大な
曲なのに、そこにあるのは、特定の時代や文化にとらわれることのない普遍的な旋律であるということ。コンセプトに合わなかったとはいえ、絶大な支持を得た「透明な音楽」「透明な音楽2」に、この三部作からの曲が一曲も収録されなかったのが不思議なほどです。
特にドラマ作品を経て大きく飛躍した時期の作品だけに、曲の一つ一つといい、アルバムの構成といい完成度がとても高くなっています。サウンドトラックという番組に付随したものではなく、独立した「組曲」としても、十分に存在しうる三部作です。