「論語」が歴史に残る所以を知りました。
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戦後の民主教育を受けたわれわれ団塊世代は、論語は試験問題程度にしか知りません。素読も知りません、標語的にも聞きかじりですし、原典に則った読み方も知りませんでした。興味が出て読み始めたのは、老後の時間のすごし方を考え始めたからです。「陋巷に在り」、井上靖、白川静先生の孔子も、論語を知っていることが前提で書かれているようでどこか、隔靴掻痒な読後感でした。さてそこで、清貧の中野孝次先生の論語注釈のこの本では、まさに同時代人の目線できめ細かい読みこなし文がすらすらとおなかに落ちてくるものでした。孔子様、古典論語への入門としても、また中国時代小説を読むバックボーンとしても最適でした。感謝。