「ことば」とは何か、が本当にわかっている人
★★★★☆
著者は、言語聴覚士の資格を持つ「ことば」の専門家です。ことばの発達の遅い子どもやご家族の方への支援を行っているのですが、ことばは単なる情報を受け渡しする「記号」ではなく、ことばには、必ず、それにこめられた気持ちがあるはずだと言います。もしかすると、その世界では常識なのかもしれませんが、「会話は、ことばのやりとりであると同時に、それにこめられた気持ちを読みとり、心を分かりあう過程にほかなりません」という文章に出会うと、ハッとすると同時にホッとします。
ことばを「教える」大人は、自分を見つめ、感受性を高める訓練をしなければ、子どもの前には立てない、とも言います。「やさしさ」と「きびしさ」を併せ持つ著者の書いた、平易な文章ですが、奥の深い書籍です。