ブルーマン・グループはドラム缶の上にペンキをたらし、それを叩いてペンキを飛び散らせキャンバスに抽象的な絵を描く。さらに、意表をつくシンプルな材料から独自の楽器を作りだす。本作では、エアポールや大きなドラム缶、ポリ塩化ビニルを用いた楽器などが使われている(もちろんデヴィッド・ヴァン・ティーゲムはグループのメンバーではない)。こうした(何よりビジュアル的に目立つ)手作りの楽器であるにもかかわらず、圧倒的にリズミカルなサウンドは、さらにアクセントとしてギターを加え、80年代初期から中期のアート・ロックを思い出させる。
2分間のオープニング曲の乱打は、芸が細かく十分に楽しませてくれる。パーカッシブなサウンドがしだいに厚みを増し、そこに誰もが引用する映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネをかすかに彷彿させる、サウンドトラック風のギター・ラインがおおいかぶさるのだ。本作は全曲通して期待を裏切らない満足度の高いアルバムであり、誰もの興味を引くBGMを聴かせてくれる。(Mike McGonigal, Amazon.com)