とりあえず新しい翻訳は評価できる
★★★★☆
いろいろな人の翻訳があるほうが選択できていいので、それだけで評価します。
cricketsは、コオロギか
★★★☆☆
誤訳とは言い切れないが、「もたつき訳」が、多く見られます。一例をあげれば原文
Tommy Sloane let his team of crikets escape him altogether while he started open-mouthed as tableau.
を松本さんは、こう訳しています。
「そして、トミー・スローンはこの大活劇にあんぐりと口をあけたままぽかんとしてしまい、コウロギ隊の一同がちりぢりに逃げた。」
これは、コウロギと訳すより、コウロギが跳ねて飛び散るように逃げたのですから、
「悪ガキの仲間は、一目散に逃げ出した。」とでも訳すべきところです。
本書は、受験参考書のように原文を読むための参照訳にすぎない。
残念ながら、日本語として読むと摩訶不思議な表現が多く見られます。
注によるネタバレに注意
★★★★★
この版の最大の特徴は「訳者によるノート−−『赤毛のアン』の秘密−−」と題する、詳しい注釈が巻末に付いていることである。これは引用句の出典などを解説したたいへん素晴しい注である。
ただし、初めて『赤毛のアン』を読む人にはお薦めできないかも。というのは注の中にネタバレがかなり仕込まれているのだ。物語序盤に付された注で「○○が○○と結婚する」とか、「○○章で○○が死ぬ」とかが、あらかじめわかってしまうので要注意。
親の成長
★★★★★
孤児のアンが、マシューとマリラとともに成長する物語。
ある見方でみれば、どたばた喜劇のようにも見えます。
カナダの自然の風景、個性ある登場人物、心温まる物語が特徴です。。
少女が、自立心を持って、生きていこうという積極的な姿勢が心強い。
あしながおじさん、少女バレアナ(ポリアンナ)、小公女などとともに、少女文学の最高傑作だと思われます。
その中で、子供の成長に伴って、親も成長していくことが分かるお話です。
翻訳を読む場合には、翻訳の善し悪しを読み比べたことがないのでわかりません。
文化の変換は、時代によって違う可能性があるので、ある期間が過ぎたら翻訳し直すことも意味があるかもしれません。
日本語で100回くらい読んだら、英語を読んでみるのもいいかもしれません。
原文はWEBにあがっています。ダウンロードして英語で読むことができます。
英語の原文は
http://www.gutenberg.org/etext/45
文字の印刷は自分で出力するより、書籍の方が綺麗で軽いので本を利用しています。
英語のフリーの朗読は、
http://www.gutenberg.org/etext/20593
http://www.gutenberg.org/etext/19576
MP3ファイルをダウンロードして、iPodで電車の中で聞くと、ボリュームがないので聞こえにくいことがあります。
ps.
NHKのアンの朗読の番組は、全文でない点が悲しいです。
教育テレビを見て
★★★★★
教育テレビの「ようこそ!アンの世界へ」を見て、
松本さんの解説を聞いて興味を持ち、読んでみました。
前に読んだ時には知らなかったこと、たとえば、
色々な詩からの引用、花々に込められた意味、
人の名前の意味などを解説した訳註のページがあって、
『ダ・ヴィンチ・コード』のような記号論に満ちた奥深い小説だと分かりました。
きれいな日本語で訳されていて、アンやマリラの心理描写も、
プリンスエドワード島の風景も、読みごたえがあります。
中年のマリラがアンを育てていく間に変わっていく姿、
アンの前向きな生き方にも、感動しました。
同じ訳者で続編も読んでみようと思います。